マーラー 交響曲1番 指揮譜

ニューヨークフィルのサイト。マゼールと録音した全集をダウンロード購入できるようになりました、という特別サイトなんだけど、(僕にとっては)音源よりさらに魅力的なコンテンツがありました。ページ上の右側にある薄汚れた肌色の画像をクリックしてみて下さい。Follow along in Mahler’s personally notated score as you listen to Mahler’s First.と書いてあるところ。ちょうど100年前の1909年12月16日と17日に、マーラー自身がニューヨークフィルを振って交響曲1番のアメリカ初演をしているんだけど、この楽譜はその時にマーラー自身が指揮のために使用した楽譜なんだそうです。じっくり読んだわけじゃありませんが、ざっと駆け足で全ページをめくってみたところ、書き込みは、指揮者がごく自然に楽譜を読む時のような、指揮するための覚え書きのような書き込みが殆どで、「振る時は指揮者として楽譜を読んでいたんだなぁ」という当たり前の事に改めて気づきます。この楽譜から「作曲者の自作自演」という事をかぎ取ろうとするなら、書き込みがむしろ少なめで端的である、という事実がそれを物語っていると言えなくもないのでは、というくらいでしょうか。一部では音符の書き換えも見られます。例えば35ページではファゴットの1、2番が書き換えられていますね。ただし、この程度なら当時の演奏習慣ではそれほど珍しくないだろうから、まだ作曲者ならではの痕跡と言うには弱い。この程度の小変更は他にも散見できます。作曲者ならではの書き込みだと言えそうなのは130ページでの2小節カット140ページでの小節ごとアクセント145-146ページでの結構大胆な音量変化この3カ所が特に目立つんじゃないかと思います。もちろんじっくり見て検討していけば他にも興味深い点がたくさん出てくるでしょう。楽譜と見比べて、ニューヨークフィル関連の音源聞き比べをしたらかなり楽しめそうですね。


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