作曲・編曲

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新刊楽譜「上を向いて歩こう」のフルート三重奏編曲楽譜がトリプ・カンパニーから発売になります。作曲者はもちろん中村八大さん。

2つのバージョンが入って、パート譜つき。定価は1, 500円+税です。

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編曲の技術(1)の続き。
原曲の必要な声部を抜き出して、可能な限り音域を原曲通りにするだけが編曲じゃないよ、という話でした。

例に挙げたのはラヴェルのクープランの墓から「リゴードン」。
ピアノこの稿は、最初の2小節のファンファーレが終わった後のお話です。

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日本語でひとくちに「編曲」と言っても、その作業内容は大きく2種類に分けられます。

Transcription(置き換え。編成Aの曲を編成Bのために書き換える)とArrangement(編み変え。原曲の素材[多くの場合はメロディ、和音進行など]を残して、その他の部分を書き換える。例えば伴奏が変わったり対旋律が変わったり。編成が変わることも多い)の2種類。

後者ならば、必要に応じて原型を留めないにくらい作り替えても良いわけで、そうすると編曲者のオリジナリティを盛り込んだ名編曲、というのも想像しやすいですよね。

ところが前者の方、「編成の置き換え」の良し悪しはなかなか作業している当事者以外からはわからなかったりするものです。ですが、たまたま僕のところに編曲レッスンに通った末に最近仕上がった生徒さんの好例があるので、それを一例に、この「置き換え編曲」の世界を少しご紹介します。 Read the rest of this entry »

今度の火曜日19日に、新作の発表があります。

FilmMusik-Abendと題された一夜。火曜日19時30分からWiehreの旧駅舎を改造した映画館Kommunales Kinoにて。http://www.koki-freiburg.de/
入場は5ユーロ、割引が4ユーロです。

作曲科の学生が作った映像のための音楽作品が並びます。
僕は今回、テープ音楽(と今の時代でも言うのかなぁ?)を作りました。タイトルはTempo di Bolero(ボレロのテンポで)。長く迷った末にふと思いついたこのタイトルがとても気に入ってます。さりげなく曲のいろいろを本質的に説明できるタイ トル。曲はもちろんボレロを素材としていて、16分あります。

プログラムは
Carlos Cotallo Solares
Minkyu Kim
Irene Galindo Quero
Fredrik Wallberg
Takaaki Horiuchi : Tempo di Bolero
Carlo Thomsen
の順。各作品のタイトルはいま手元にありません。

ドイツ在住でご都合のつく方は、ぜひお越しください。

珍しくポスターのデータももらえたのでついでに載せておきます。グリッドデザインがダイレクトに使われているあたりがいかにもドイツらしく、機能的で、ダサい。これをフォーマットにして毎回文字を入れ替えるだけなんだけど、僕はいつも、70/80年代とか堀内誠一さんとかのデザインと同じ匂いを感 じ取ってしまいます。

FilmMusik 19. Januar 2010.pdf

 

既にプレミエが終わってしまいましたが、7月12日から8月16日までの間、ロットヴァイル室内劇場というところで上演されている野外劇「ロミオとジュリエット」の音楽を担当させていただいています。打楽器奏者二人のために書き下ろした音楽です。上演時間は2時間15分くらいでしょうか。

劇場のホームページ担当者がなかなか更新してくれないので、作品紹介のところにはクレジットがまだ載っていませんが、画面左のEnsembleというところをクリックしてもらえばTakaaki Horiuchiと載っているのをご覧頂けるでしょう。
http://www.zimmertheater-rottweil.de/

Rottweilというのはドイツ南西にある街。トロッシンゲンとシュトゥットゥガルトの間に位置する街で、フライブルクからだと電車で2時間〜2時間半くらいのところにあります。
小さな街だけど、とてもきれいな、観光に行くにもオススメの街です。
野外劇の舞台となっているのは、本来の劇場から少しだけ離れたところにある、見晴らしの良い丘の切れ目。鳥の歌声が豊かで、上演中に次第に夜のとばりが訪れる様は何とも言えず幻想的です。

ドイツ在住の方や、たまたま旅行でドイツを訪れる方は是非お運び下さい。8月16日までに22公演が予定されています。

公演日程はこちらでご確認いただけます。(いくつか移動公演もあるので注意です!)

ドイツ語ですがレビューも出ています。
http://www.nrwz.de/nrwz/theater/00027850

ところで、日本では「ロミオとジュリエット」として親しまれているシェークスピアのこの劇、ドイツでは”Romeo und Julia”と呼ばれています。ロメオとユリア。
ロミオ→ロメオくらいの変換は問題ないんですが、ジュリエット→ユリアの変換は、かなり受け入れるのに時間がかかりました。実際に作曲して、最後の集中稽古が始まった頃になってようやく自然と”Julia”が腑に落ちるようになって、初演が終わった今は逆に「日本語では何だっけ?」と1秒ほど思考が止まってしまいます。

18日土曜日18時からベルリンで新作の上演があります。Blind Spot – Klang in Film und Videoというイヴェントの一環。

僕はマルセル・デュシャンが1926年に撮った無声映画Anémic cinémaのためにサイン波だけを使って作曲しました。

会場は、Charlottenstraße 55にあるハンス・アイスラー音大のスタジオホール。入場料は4ユーロです。

詳細は、Klang-Film-Video-Festival „Blind Spot“から、Samstag, den 18. Juli 2009, 18.00 Uhrとなっているところをクリックして下さい。他の作品情報も出ています。

マーラーのアダージェット(交響曲第5番4楽章)が日本楽譜出版社より出版されました。
http://nihongakufu.com/score/archives/5_4_1.php

交響曲のアダージェット楽章のみが収録されているこの楽譜ですが、僕は、原曲のハープ+弦楽版と一緒に収録されているピアノ編曲を担当しています。

弦楽器特有の息のなが〜い旋律をどうやってピアノで処理するかが課題でしたが、なんとか原曲の雰囲気を保ちつつ、なおかつピアニスティックな効果も併せ持つ編曲に出来たんじゃないかと思います。
それほどピアノが弾けない人でも楽しみで弾ける編曲であり、かつ、ちゃんと弾ける人が表情を施して弾けばステージにもかけられるような編曲であるように、と難易度を考えてあります。

マーラーの5番のスコアを既に持っている人はよくご存じと思いますが、交響曲5番全体はものすごい分量があるんですよね。だから既存の版は、減らせるものなら1ページでも少なくして印刷経費を抑えようという出版社&浄書家の執念すら感じさせるレイアウトになっています。利用者としては、楽譜を持ち歩きやすいというメリットもあるんですが、この第4楽章などはそのあおりを食らって、11分くらいはかかる曲なのに、たった5ページに、これ以上は出来ませんってくらい神経質に、縦にも横にもスペースを切り詰めて収められています。浄書をやっている目から見ればほれぼれするくらいの職人技が詰め込まれているんですが、この曲を勉強しようとしたときは、読譜のための苦労もかなり追加しなくてはいけなかったわけです。
曲はアダージェットなのに、楽譜は真っ黒でゆとりのない状態だから、目と耳がダイレクトにはつながってくれないんですね。

対するこの日譜版は、楽章抜粋のおかげでレイアウトもゆったりと、目に優しい楽譜になっています。
アダージェットだけ楽譜を読んでみたい、なんて人にはまさにうってつけでしょう。ピアノ版の方も、ぜひ弾いてみてください。

大型書店、楽器店などのほか、日本楽譜出版社さんからも直接購入可能です。

第2南西ドイツ放送に(SWR2)、Klassik auf Klickという毎週月曜更新のPodcasting番組がある。
平均して30分ぐらい、定番曲から変化球までのレパートリーを、なかなか良い演奏でじっくり聴かせてくれるから登録してるんだけど、12月の放送でかかっていた作品が面白かった。

アーカイブがあるのでここから音源を聴けます。(※番組アーカイブはこちら

曲はHeinlich von HerzogenbergのStreichtrio F-Dur Op.27-2

全然知らない作曲家と曲だったからためしに聴いてみると、新しい時代の目線で古い様式を扱ったような作風。けれど模倣というわけでもなくて、独特な和音の連結や、やたら泰然とした(素朴、というわけでは決してない)間の作り方、(狙ってか狙わずか)どこに進みたいのかわからない、目的地点が読み取れないフレーズの作り方や、時々顔を出す、1小節前後のフレーズの繰り返し技法(レコードの針が飛んである2秒だけが繰り返されるかのよう)と、それらによって全体に漂う浮遊感。目新しさが全くない単語を、組み立て方によって一つの方言に作り上げてしまったような音楽には新鮮さも憶えました。

意外とモーツァルトやベートーヴェンあたりと同世代のような気もするけど、この曖昧な構成は古典派の時代に存在しない。マルタンやマルティヌーたち同僚世代の可能性も考えられるけど、20世紀の新古典様式はここまでほのぼのしていない。更に後の世代の、調性の臨界点とかゼンエイとかを全く意識せずに書けるようになった世代?・・・と考えてみてもどの推論もしっくり来ない。

で、調べてみると意外にも1843年生まれで1900年に没した人でした。オーストリア人で、ベルリン音大の教授も務め、最後はヴィースバーデンで活動したようです。ブラームスとも親交があって、ピアニストだったElisabeth婦人は、ブラームスが作品を公表する前に批評を伺うような信頼される存在だったとか。
http://de.wikipedia.org/wiki/Heinrich_von_Herzogenberg

検索してみたら、ヘルツォーゲンベルグ=ブラームスの書簡集を日本語訳して発表している人までいました。
http://blogs.yahoo.co.jp/fminorop34/folder/1485688.html?m=l&p=20
作曲家としてよりも、”ブラームスの伝記を調べると出てくる知人の一人”として受容されてきた人なのかもしれません。

1843年生まれと言うことは、同世代をざっと見渡してもムソルグスキー、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、グリーグ、リムスキーコルサコフやフォーレなんかが生まれています。ロマン派も一通り熟し、国民楽派が生まれたりして、それまでのクラシックにあった”正統”の書法が分岐して一気に広がりを見せ始めている時代。作曲家皆が、それぞれに新しく自分の音楽語法を生み出そうとしていた活気溢れる時代。上に書き出した作曲家は、作風の違いこそあれど、情熱に突き動かされて音符を書き連ねていったかのような音楽の集中力やほとばしりがある。「自分が次の音楽を作るんだ」という野望のようなモノが。

ところがヘルツォーゲンベルクのこの曲は、そういった野心とは全く無縁で、減税対策のために赤字前提で営業している駄菓子屋さんのような呑気さがある。僕は「ゆるクラシック」「ゆるロマン派」と名付けたいと思ったんだけど、ここまでのゆるさは、クラシック音楽の長い歴史の中でも他に例が思いつかない。
遅い音楽の場合でも、普通はもうちょっとは凛とした美しさをたたえていたり、ロマン派以降ともなれば切れば血が吹くような鋭さがあったりする。なのにヘルツォーゲンベルクの曲には、それがない。
作曲家史上最も悠々と生きられたはずのメンデルスゾーンだってここまでゆるい曲は書いていない。

アマチュアの書法かというとそんなわけでもなくて、よく書き慣れた、熟達した書法だと言うことはよくわかる。細かい書き分けも効いているし、弦楽3重奏だというのに不足無く良く響くように書かれている。真似しようと思って簡単にできるレベルでもない。
1楽章冒頭の2声にしても、ピチカートで始まったチェロに対して同じメロディのヴィオラがarcoで入ってくるような発想は当時なかなか考えられるモノじゃないんじゃないかなぁ。その後ヴァイオリンが入ってくる場面での「何も起こらない」引き算の書法も、ある意味スゴイ。普通ならチェロとヴィオラのメロディを引き継いで朗々と歌いたくなるところを、休符で埋めて焦らすなんて。

始終こういう心地よい裏切りがちりばめられていて、とにかく全楽章がゆるい。
動機の共通とか反復とか変容と言う事は実に巧みに行われているから、全体の統一感はある。

何度か聴いていると、このゆるさが心地よくなってきてしまいます。ちょっとやばい。

Naxos MusicLibraryで他に何曲か見つけられたのでさわりだけ聴いてみたけど、どうも他の曲は弦楽三重奏ほどの絶妙なゆるさが見当たらない。足りないブラームスになっちゃってる感じ。ゆるいことはゆるいし、かなりの頻度で弦楽三重奏と共通するリズム素材が配されているから、「ヘルツォーゲンベルク印」が刻印されているのはよくわかるんだけど。「ゆる曲度第1位」は今のところ弦楽三重奏の席です。

それでも他の曲の中に、最大級の「ゆる曲」が隠されている可能性があるので、興味を持って調べてみようかな。「交響詩オデュッセウス」Op.16なんて気合いの入ってそうなタイトルがあるけど、そういうのが伏兵だったりして。

スイスのドメインでこの人の公式サイトのようなものがあるんだけど、
http://www.herzogenberg.ch/
このサイトですらトップページに「ヘルツォーゲンベルクを紹介しても良いですか?」なんて書いてあるくらいだから、まだまだ知名度は高くはない。 

うまく紹介されれば、このゆるさがツボにハマる人は一定数いるんじゃないかなぁ。

フルートアンサンブル・トリプティークのために書きおろしたフルート3重奏用の編曲「愛の挨拶」と「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」の2曲が、楽譜出版に続いて携帯の着うた(R)で配信される事になりました。
 配信元は株式会社 友ミュージックさんの「BRASSBAND CLUB 」。演奏はもちろんフルートアンサンブル・トリプティークの3人です。

Docomo、au、Yahoo!ケータイの3キャリアに対応。楽譜は誰にでも楽しんで貰うというわけにはいきませんでしたが、着うたならどなたにも気軽に楽しんでいただけます。
お気に入りの曲があったらダウンロードしてみてくださいね!

◆Docomo
iMenu → メニュー/検索 → 着うた/着モーション→ ジャズ/クラシック

◆au
♪BRASSBAND CLUB
EZメニュー → EZトップメニュー → カテゴリで探す → 着うた → クラシック・ジャズ
♪BRASSBAND CLUB full
EZメニュー → EZトップメニュー → カテゴリで探す → 着うたフル・ビデオクリップ → 楽器・伝統音楽

◆Yahoo!ケータイ
♪BRASSBAND CLUB
Yahoo!ケータイ → メニューリスト → 着うた・ビデオ・メロディ → 着うた → JAZZ・クラシック・ワールド
♪BRASSBAND CLUB full
Yahoo!ケータイ → メニューリスト → 着うたフル → 楽器・アレンジ

オーケストラアンサンブル金沢の定期演奏会で拙作が取り上げられます。オーケストラ・アンサンブル金沢 第237回定期公演ファンタジー・シリーズ日時:2008年3月16日(日)15:00開演(14:15開場)会場:石川県立音楽堂コンサートホール指揮:鈴木織衛出演:木乃下真市、一川明宏(津軽三味線)小杉真貴子、加賀山昭、田村雅子、山本正之、山口幸晴、出島照磐、吉倉正治、加賀山紋(唄)瀬尾明美民踊社中、中村梅也社中(民踊)曲目:〈オーケストラによる日本民謡〉間宮芳生:コントレタンツNr.1「白峯かんこ」堀内貴晃:小編成管弦楽のためのCapriccio 〜あばれ祭りに寄せて〜外山雄三:管弦楽のためのディヴェルティメント〈津軽三味線の響き〉木乃下真市:月に想う〜灼熱 ほか〈日本の民謡〉〜民謡 北から南から そして北陸〜料金:SS:5,000円 S:4,000円 A:3,500円 B:2,500円 B学生:1,500円詳細はオーケストラ・アンサンブル金沢のサイトでご覧下さい。”日本民謡”というテーマで取り上げて頂いていますが、”あばれ祭り”は、特定の日本民謡を素材とした作品ではありません。もう10年前の曲なので、今の自分からすると、まだまだ勉強できてないなぁ、という思いもあるのですが、初めてプロの演奏家(集団)に自分の作品を演奏して貰えた思い出深い曲です。この曲や、その演奏を通じて勉強させて頂いた事が山のようにあります。ご都合がよろしければ是非お運び下さい。

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