作曲・編曲

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フルートアンサンブル・トリプティークのために書き下ろした編曲が楽譜販売される事になりました。
ドリカムの歌っている「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」(吉田美和作曲)と、エルガー作曲の「愛の挨拶」の2曲を、それぞれフルート3重奏のために書いたのです。

2曲とも「プロが仕事で使える編曲」として仕上げたつもりですが、それは音楽的な中身の話。技術難易度はそれほど高くないので、アマチュアのフルート奏者のみなさんにも充分お楽しみ頂けます。

「愛の挨拶」の方は、H管フルートを使うように指定していますが、C管フルートでも演奏できるようにoptionの音符も書いてあります。

フルート4重奏に比べるとフルート3重奏のレパートリーは数が少ないそうです。今後もこの編成のための楽譜を折に触れて書いていきたいですね。

自前で編曲してレパートリーを増やしているアンサンブル団体は少なくないと思いますが、こうして楽譜を出版して世に出していくグループはそうそういないと思います。CDを出すよりは、楽譜を公に出した方がレパートリーの充実のために貢献できる事が大きいと思うので、トリプティークの3人の信念と行動力にも応援を送りたいです。

フルート奏者の皆さんは是非ともお買い求め下さい。
→楽譜購入方法などの詳細はこちら

近日中にムラマツ新宿店や山野楽器でも取り扱い予定だと聞いています。

編曲ですが、新刊情報です。

女声合唱ソングブック [生きちゃったイ]四六倍・72頁 1680円 音楽之友社刊。4月9日発売予定。

曲集タイトル「生きちゃったイ」は収録曲のタイトルです。工藤直子さんの作詩。

僕は「千の風になって」の女声2部合唱版を編曲しました。合唱を(どんな女声合唱団でも歌えるように)極めて平易に扱って、音楽的な充実をピアノパートやオプションのオブリガートパートで補った編曲です。もちろん実力ある合唱団でもステージで使える音楽内容です。この曲を充実した編曲で歌いたかった女声合唱団関係者の皆さんには朗報ですよ。

以前書いた「ひだまりの詩」のレコーディングの日。
江戸川橋に近い、キングレコードの関口台スタジオに行ってきました。

こういうスタジオのレコーディングは初体験。僕みたいな活動分野でスタジオに来る日が来るとは予想しなかった。

取り方にもいろいろあるんだろうけど、今日の場合は合唱団のブースと指揮者のブース、ピアノのブースをわけて、マイクを別にセッティングしておいて、あとは目視とヘッドホンの音で合わせる、というやり方。

僕はコントロールルームの方で聴かせて頂きました。マイクを通した音だけを聴いている関係でリアルタイム演奏と全く同じプレイバックが聴こえる事に軽いカルチャーショックを覚えました。
今日の音色は生演奏の基準から行くと硬いものだったけど(そもそも自然に響くだけの広さが無い)、後からミキシングで音像を変えていくんだろうなぁ。仕上がりはまったくの未知数です。

今日行ってみてからわかったんですが、今日のピアニストは、なんと去年熊本の公演の時にお世話になった先生の娘さんでした。「娘は東京でピアニストしとります」という何気ない世間話を覚えていた自分に拍手。世間は狭いです。

で、ご報告です。「ひだまりの詩」の編曲は、まぁ上手くいっていたと思います。今日は20〜30代が中心の合唱団だったけど(そういえば合唱団と顔を合わせない現場、っていうのも珍しい経験だ)、+ウン十年世代の女声合唱団でもそれぞれの魅力が出せるような、素直な編曲になっていたと思います。
CDは春に発売、楽譜は夏に発売予定なのでご記憶下さい。

今日はもう1曲、世間をにぎわしている「千と風になって」の編曲も録音してもらいました。こちらも合唱は素直に歌えて、ピアノが音楽の広がりを支えるような編曲。同時収録なのでお楽しみに。 

ママさんコーラスのための編曲をする事になって、示された3曲の資料に耳を通しておりました(企画者は明らかに「女声合唱」と「ママさんコーラス」を別カテゴリ—として捉えている雰囲気)。

請け負ったからには、原曲とは違う魅力が加味できるように仕上げたいものです。それに、何も若い声ばかりがいいわけはなく、熟年だから出せる魅力だってあるんだという事は充分理解しています。
幸い、頼まれた3曲中2曲は、聴いてすぐに熟年ならではの魅力が出せる方向性が見出せました。

でも、残る1曲が

ル・クプルの「ひだまりの詩」。

さすがに厳しい・・・。

どなたか、こういう若向きの曲(この言い方もおかしいなぁ)の熟年合唱向き編曲に立ち向かって成功した例をご存知でしたら教えて頂けないでしょうか。なんとかしてウルトラCを編み出さなくては。

「みみをすます」が出来上がりました!

正真正銘のできたてホヤホヤ。製本所から出版社に16日のお昼に届いたものを、夕方に受け取ってきました。

混声合唱と打楽器のための みみをすます

谷川俊太郎 詩 / 堀内貴晃 作曲

MIMI O SUMASU (Listening)For Mixed Voices and Percussion

Poem by Shuntaro TANIKAWA / Music by Takaaki HORIUCHI

音楽之友社 定価1700円(+税)

です。

ナゼ英語のクレジットまで書くかと言うと、わざわざ外国向けにローマナイズした歌詞まで併記しているからです。日本語はかなりのマイナー原語に属するので、外国の団体に演奏されるのは難しそうだけど、なんとか諸外国でも演奏されて欲しい!

これから問屋さんを経由して配本されるので、1週間くらいしたら店頭でも見かけられるようになるはず。打楽器共演というマニアックな編成が原因で売れ行きの予測が難しいために、初版分の著作権料はナシという契約になってしまいました。(その分自分で浄書して浄書屋としての制作費は貰いましたが。) 2刷目にならないと著作権収入がないんですね。ショボン。

みなさん、買ってね!1冊買って頂くと5%の85円が僕の口座に入ってきます!本当は、買ってくれるよりは、ダイレクトに僕に100円くらい恵んでくれた方がもっと嬉しい!(笑)

今日は出版社で出来立てホヤホヤの楽譜を受け取って、その足で合唱団の練習に立ち会ってきました。(運び屋を手伝ってくれたI上くんありがとう。)今週の土曜日に行われる合唱コンクールの全国大会でこの「みみをすます」が演奏されるんです。その事前練習の立ち会いに行ったのでした。そして最後1時間くらいを貰って、直接「みみをすます」の指導。出版までされたんだから完全に自分の手を離れた、と言いたい所だけど、実際は作り手として「この音はこうであって欲しい」という希望がどこまでもつきまとってしまいます。それがベストとは限らない事もわかっているのに、それでも。

僕は所用のために新潟に聴きにいけませんが、いい音が新潟に響きそうな予感でした。いい演奏をして、お客さんを感動させて下さいね!>合唱団の皆様新潟で聴けない皆様も、是非楽譜屋さんで楽譜を手に取ってみて下さい!

加賀取材2日目。(自分のためのメモを兼ねて。)今日は昨日より早く朝8時にホテルで待ち合わせ。というのもTさんに近江町市場を見て頂きたかったからだ。朝の活気のある市場を期待して出かけた。のに、意外にも近江町市場の朝はゆったりしていた。どの魚屋さんも、ようやくその日の仕入れを陳列し始めている段階。食堂に至っては殆どが開店していない状態。(市場の中で食材を仕入れてから開店するからだろうか?)けど、それでもやはり、動き始めとは言え市場の活気には元気づけられるものがある。時々試食の商品を店のおじさんにもらいながら市場を一巡。僕にとってもこれだけじっくりと食材を見ながら市場をまわったのは初めての事だった。その後、お麩の名店不室屋に寄り、尾張町を抜け、浅野川をわたって東茶屋街まで歩く。金沢の中でも特別に風情溢れる地域です。ひととおり散歩するだけでも時間の流れがゆったりします。東茶屋外街を見終わった後は菓子文化会館と、隣の金沢蓄音機館を立て続けにまわる。どちらも少し駆け足気味になったのが残念。次のチャンスには時間をかけてじっくりまわりたい。そしてその後は近江町市場に戻る。10時半を過ぎていた。この頃には先ほど閉まっていたお店も殆ど開いていて、普段どおりの活気ある市場の顔をしていた。そして早めのお昼というべきか遅い朝ご飯と言うべきかわからない刺身定食を頂く。魚もウニもとにかく甘い。東京ではなかなかこういう味にはありつけない。近江町の後には柿の木畠の「うつのみや本店」へ。Tさんは作詩のための資料として郷土の本を大量に買っていらっしゃった。(今回は新書店にしかお連れできなかった。古書店にもお連れすべきだったかも知れない。)30分ほどで本を購入した後、ホテルに一旦戻る。そしてホテルでNHKの記者Aさんと会う。Tさんが以前に別件の取材でお会いしていたAさんが今は金沢勤務。それでお会いする事になった。Aさんの話し振りの、あまりに完璧な応対に驚く。そのまま教科書にしても良さそうな素敵な話し振り。「仕事柄しっかりしている」という水準を遥かに超えているような気がする。世の中には凄い人がいるものだ。20分ほど話しただろうか。後に予定があったのAさんを見送る。そして午後からは、Mさんの運転する車に乗せていただいて、ずっと白峰村の方まで案内していただく事になる。まずは金沢市内から白峰村まで。その後、用事を果たしながら順に金沢まで戻ってくるコース。白峰村(現在は白山市白峰)ではUさん夫妻のお宅にお邪魔して、白山についての話をいろいろ聞かせていただく。招き入れて下さる時に「うちは2階暮らしなもんやさけ申し訳ないけど・・・」と2階に案内された。何だろうと思っていたら、その後理由がわかった。白峰のあたりでは雪が降ると1階部分が埋もれてしまうのだそうだ。だから生活の中心が2階になる、と。どこかで聞いた事もあったかもしれないが、すっかり忘れていた。リアリティのともなわない記憶はかくも脆いもの。Uさんの話もさることながら、人柄にもすっかり魅了された。穏やかで、本当に二人仲良く一緒に時間を過ごしているのが伝わってくるような気がする。自分も年をとってこういう夫婦でありたいな、と思う。Uさんのお宅の後は林西寺へ。以前は白山の頂上にあったと言う仏像を見せてもらう。とても長い間山野頂上にあったとは思えない、深みのある鈍い輝き。下山後に手入れしたのだろうか。腕のラインが見事だった。その後白山ろく民俗資料館へ。閉館直前だったのでゆっくり見る事はできなかったが、牛首紬(うしくびつむぎ)の製造工程を見る事ができた。機織りのリズムが印象的で、まだ頭に音がこびりついている。それにして、機織りの原理ってどうなっているんだろう。どの作業がどんな結果に繋がっているのか、じっと見ていても全くわからなかった。次は白山恐竜パーク白峰へ寄ったが、既に閉館。ただ、みやげもの屋さんは営業していたので少し資料を買う事が出来た。県外の人にはあまり知られていないかも知れないけど、このあたりからは恐竜の化石(の一部)が見つかっているんです。僕も小さい頃、父に連れられていって何かの化石を崖からとってきた覚えがあります。今は採掘禁止らしいので、きっと禁止される前の話です。そして少し手取川ダムへ寄った。ダムだけではないのだが、Tさんによると「金沢は水が豊か」なのだそうだ。僕は金沢が基準になっているのでそんなことを考えた事もなかった。やはり客観視する/されるという事は大切だ。次に向かったのは白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)。表参道からずっとアプローチを歩くと、木々の息吹を感じるよう。若々しい息吹ではなく、老成した大きな呼吸の息吹。それが神聖な場所であることを強く意識させる。拝殿の屋根には菊の御紋がしつらえてあった。何か天皇家の縁があるんだろうか?伊勢神宮と関係があるような事は説明書きに書いてあったけど・・・。丁度、宮司さんの勤務(?)が終了したようで、制服(?)のまま車に乗って帰宅していくのが見える。これは見ない方が良かった(笑)。そして再び表参道を降りて、今度は金沢へ。金沢での晩ご飯は「香林」というお寿司屋さん。Mさんの配慮でご馳走になった。(ごちそうさまでした)ネタが甘い!そしてちょっとずつ手をかけてあって、過不足無くおいしい。その上値段も適切とくれば、地元の人に愛用されるのもわかるような気がする。検索してもあまり出てこないということは、マスコミにはさらされていないお店なんだろうか?晩ご飯のあと、まだ時間がありそうだったので再び東茶屋街へ。夜は夜の風情がある。昼間は気づかなかったが、版画家クリントン・カーフさんの作品がディスプレイしてあるお店があった。あまりガイジンらしくなく、また日本人らしくもない作風が面白いと思う。絵はがきがあるようだったが、閉店後で買えなかったのが残念。その後は武蔵ヶ辻のスターバックスでコーヒーを飲みながら、Tさんとこれから作る作品について話す。今回、Tさんの中には種になる何かが芽生えたようだ。僕は詩になるのを待つしかない。そして詩が出てきた時に、その詩に寄り添うような音を生み出せれば、と思う。今回の取材はこれで完了。けれど、これから1年かけて四季折々の様々な風景をTさんには体験していただかなくてはいけない。一度では見えなかったものも回数によって見えるかも知れないし、何度見ても変わる事のない姿を再確認する事もまた必要なのだと思う。

新曲のための加賀取材1日目。(自分用のメモも兼ねています。)9時にホテルで待ち合わせて、案内のIさん、詩人のTさんとともに出発。詩人のTさんは石川県に来るのは全くの初めてだったので、基本はTさんに初めての土地についていろいろ知ってもらう事を目的として一日動く予定です。まずは石川城へ。入場料を払って五十間長屋に入ると、当時の建築の様子がよくわかるように整えられています。CGで建物の組み立て過程を紹介したりしているのですが、このCGが意外とよく出来ています。こういう観光地のものってもっと安っぽいイメージがあるんですが、とても充実した作りのCGです。その他にもいろいろと当時の建築法や城の存在意義について紹介があります。菱形の柱が興味深かったなぁ。この技術を最初に考えた人はすごい。お城を見た後は後は日本三名園の一つ”兼六園”へ。いつの間にやら夫婦松の「夫」の方が虫にやられていなくなっていました。未亡人となった「婦」の末の寂しそうな姿が印象的。木は、ともすると悠久のもののように思えますが、木の時間感覚の中でたしかに生きているんですね。それを再確認させる出来事。そして「女がずっと元気で、男は先に病気で死」という構図は男性にとって身につまされるものがあります。これは自然界のことわりなんでしょうか。兼六園を一通り見て、お昼を頂いてから、Iさんのご自宅へ招いていただいた。とても素敵なお庭のあるお宅で、良い風が入る。小鳥が呼び交す声まで聞こえてきて至福の時間。Iさんからは「いのち」についてとても示唆に富んだ話を聞かせていただいた。年の功と言って良いのかどうか、Iさんの話は一言一言含蓄があって考えさせられる。その後、詩人Tさんのリクエストで僕が一番好きな金沢の風景を見にいく。「この町で一番好きな風景は?」なんて発想で考えた事がなかったから、最初は戸惑ったんだけど、少しして一つの風景が浮かびました。高校の頃によく見ていた風景。それは学校を出て、平和町と寺町を通って、妙典寺の手前を右折して桜橋まで降りていく坂(新桜坂というらしい)の風景。自転車に乗って立ちコギしながらこの坂を降りていくと、お寺で遮られていた視界が急に広がって、犀川や遠くの山々、それから金沢の街が一気に目に飛び込んでくるんです。この風景が大好きでした。今回はデジカメでの撮影を忘れてしまいました。撮っておけばみなさんにもご覧頂けたのに、残念。観光客は普通見ない、かなりマニアックな風景だと思います。是非今度金沢に観光で行かれた折りにはご覧あれ。そしてこの新桜坂を見た後は松任市のC.C.Z.まで海岸風景を見に行きます。CCZというのはCoastal Community Zohn(=沿岸共同体地域。)の略。「シーシーゼット」が何の略なのかは地元民の多くには知られていないようですが、要は温泉やフードパークなどが海岸に併設されているわけです。丁度沈みかけた夕日がきれいでした。夜の帳が下りはじめる風景を久々に見た気がします。CCZを後にして、次はTさんが(暗に)頼まれたおみやげを買うために芝舟小出(※音声注意)の本店へ。8時くらいまでは営業しているかと思って7時15分に着いたら、もうお店は閉まっていました。7時までだったんですね。でも、わざわざ金沢に来たTさんのためにも、なんとしても本店の芝舟を買いたいところです。ダメもとでインターホンを押してみたら、残っていた社員さんが快く対応して店舗の方に案内して下さいました。おかげで《本店の》芝舟を入手。小出さん、本当にありがとう。そしてTさんの希望(このブログの以前の記事を読んで興味を持たれたらしいです。)で工大前のカレーのチャンピオンへ。チャンピオンの味は健在でした。Tさんにも気に入っていただけたようで良かった。お陰で僕もカレーを堪能。満腹感のままにTさんをホテルまでお送りして、明日の行動予定を確認して、今日の取材はここで終了。続きはまた明日。

昨日の相模台グリーンエコー定期演奏会にご来場頂いたみなさま、そして何より山本先生と団員のみなさま、ありがとうございました。新曲が客席に届き、多くの拍手を頂けた(通常感じられないほどの会場の一体感がありました)のは、何よりも演奏者の取り組みのお陰だと実感しています。改めて確認しましたが、このグリーンエコーという合唱団は、基本的な能力が非常に豊かな合唱団です。時間をかけて育って来た合唱団であることが大きな一因ではないでしょうか。今のところ、地域を出ての知名度がないのが残念ですが、聴いたことのないみなさま、是非一度お聴きください。人を魅了する何かがある団体です。コンサート全体を通じて奥深いサウンドを楽しませていただきました。現在は男声のメンバーが少なめで、女声とのバランスに限界を感じる面もあります。神奈川方面で練習に通うのが可能な男声は是非一度、見学に行ってみて下さい。昨日は、委嘱の組曲中から1曲だけの披露でしたが、来年の定期演奏会では組曲全部の完成版を演奏していただく予定です。今から入れば新曲の初演にも参加できる!新曲「おしえて下さい」は、これまでと違って宗教的な側面がある曲になりました。6月12日(日)の神奈川県合唱祭(神奈川県立音楽堂)でも演奏していただけるとのことなので、昨日聴けなかった方は是非足を運んでみてください。#その他、6月24日(金)のヴィオラ・ダ・ガンバ・コンソートの編曲初演情報や、7月16日(土)の「5分でわかるボレロ」演奏情報の詳細などをホームページの方に追加してありますのでご覧下さい。

学部生だった時に、学校の文化祭用に「ラヴェルのボレロを混声合唱とピアノに、5分に縮めて編曲して」という依頼をもらった。合唱に編曲はまだいいとして、5分なんてそんな無茶な、と思いつつもいちおう言われたとおりに仕上げた。原曲の「段々盛り上がっていく」仕組みをただ5分に切っても消化不良を起こすだけだから、毎回毎回、音色(合唱ならば発音で操れる領域もある)を変えながら色んな側面を見せていく、という切り口で取り組んだ。結果は、それなりに面白いものになったと思う。演奏者も楽しんでやってくれたようだったし。でも、まぁ基本的には「おふざけ」の編曲なので文化祭で一度やったきりお蔵入り。それが、今度久々に日の目を見る事になったので、改めて楽譜を見直してみると結構ひどい。何がひどいって、ピアノがひどい。全然ピアノっぽく書けてないからなぁ。昔の至らない楽譜をそのまま演奏者に楽譜を渡してしまうのも如何なものかと思ったので、楽譜を見直して、より「編成らしく」なるように少し手を施した。結果は、まぁ実演を聴いていただくとしよう(7月に新潟です)。基本的なコンセプトにはやはり無理があるので、パロディの域を出られない楽譜だが、それでも今回の作業で気に入ったアイディアがひとつある。原曲の一番最後の盛り上がりの部分ではトロンボーンが華々しいグリッサンドを聴かせていて、曲の最後にもう一押し仕掛けを聴かせてくれる大切な要素になっている。(さすがラヴェル!)前回の編曲の時は、どうしてもこのアイディアを合唱とピアノには盛り込む事ができなくて断念したのだが、今回は閃きのお陰で無事に盛り込む事が出来た。ある音型で音色を考えて弾けば、ピアノでもトロンボーンのグリッサンドっぽい効果が出るんです。ありふれて見えるアイディアだけど、これを閃いてちょっと幸せ。楽譜を書く方には、こういう見えないヨロコビというものもある。

どうも風邪をひいてしまったらしい。こまごましたようで外出が多かったからどこかで貰ってしまったかな。舌(特に先端)が痺れて、腹部に鈍い痛み。そして時々扁桃腺に瞬間的な刺すような痛み。扁桃腺の痛みはこれまで経験した事の無いタイプの痛みだ。大丈夫かなぁ、でも、寝込むほどではないしある程度動く事は充分可能。ただ、充分に元気というわけでもない。今日は作曲を進めたかったんだけど、作り始めてみてもどうにも頭が回転しなかったので予定変更。ずっと懸案だった自作の音源の整理をすることにしました。事務的な事ならどうにかなるもんね。多分。今までに演奏されたときの音源は大部分がMDに入ってます。あとはCDに入っている録音も少し。問題なのはMDの方で、普段殆ど使っていないポータブルのハードを持っているだけ。時々「選曲の参考に音源を聴かせてください」なんて問い合わせが入ったときに、わざわざオーディオ周りの配線をやり直してMDからテープに落として、そのテープから再び別のMDにダビングし直す、なんて作業をしていたんです。今までは。この上なく非効率なのはわかっているんだけど、そういうシステムしかないんだからしょうがない。そんなわけで、これまでは音源の問い合わせがある度に憂鬱になってました。一度パソコンに取り込めばいいのはわかっていたけど、僕が今使っているMacにはオーディオ入力する端子がない。数日前、やっとUSBのオーディオインターフェースを買ってきたのでパソコンにMDの音源を取り込めるようになったんです。1万円は痛い出費だった・・・。2〜3千円であっても良さそうなのになぁ。で、今日は図らずも事務作業の一日になったので、順番に過去の音源を取り込んでいきました。取り込んだ後は波形編集のソフトで頭と終わりの無音部分をカットして(エフェクト効果をどうこうするほどの思い入れは無い)、編集し終わったファイルは順番にiTuensに投げ込んでいって演奏者のクレジットを加える。問い合わせの大部分は合唱なので、とりあえず合唱曲の整理だけはひととおり終わりました。これからは問い合わせに応じてトラックを選んで、ボタン一つでCDを焼いて送る事ができるぞ。ビバ、iTunes!作曲家によっては自分の曲を聴くのが大好きな人もいるのかもしれませんが、僕は自分の曲を聴くのは嫌いです。いろいろ気になって身につまされてしまうから。作曲しているその瞬間は「おお〜すげ〜カッコイイ!」とか無理にでも信じて書くように心がけてますが(ある種のカンチガイも必要でしょう)、書き終わってしまえば後悔と慚愧の念に苛まれます。で、「もしこんな曲を最後にして死んじゃったら大変だ」なんて思うので次の曲にかかれるわけです。もっと筆の力があればそんな事を考えなくなってくるのかもしれませんが。これでも10年くらいは作曲しているので、全部の音源整理にはまだしばらくかかりそう。

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