フォーレの歌曲

今日はずっと自宅で(他人の)楽譜作りの作業だったので、フォーレの歌曲をiPodに投入しながらざ〜っと流しておりました。聴いていたのはbrilliantから出ている歌曲全集。アーメリンクもスゼーもどちらも清澄な歌い方でとても心地いい。録音は70年だから、一般的にはもっとロマンティックな演奏が蔓延していたんじゃないかと思うけど、余計な飾り付けのない、素直な楽譜の読みです(多分。流して聴いているだけだから正確な事は言えない)。ピアノのボールドウィンさんも、絶妙なタイミングや音色を随所で聴かせてくれます。今日聴いていて特に耳に残ったのは2曲。フォーレのOp1-1であるLe papillon et la fleur(蝶々と花、かな?)は、全く旋法色がない普通の調性で書かれていて、ある意味フォーレらしからぬ曲だけど、サロン風の上品さが光る。3コーラス繰り返すんだけど、ちょっとした音程が繰り返しによって異なるところなんかが地味に巧い。op.1って普通は気合い入りまくりの力作になるものだと思うけど、これだけ肩の力が抜けて、なおかつ洒脱な曲が書けるのもスゴい事です。もう1曲は、Op.58-1のMandoline(マンドリン)は、タイトルどおりにマンドリン風アルペジオのスタッカートなピアノの音型がチャーミング。このあたりになると、こっそりと旋法的な動きを織り交ぜ始めますね。和音に付加音を忍び込ませる手法が巧くてニクいです。特に出だし、1拍目ウラの右手の9thの音なんて、いざ書こうと思ってもなかなか書けないだろうなぁ。スタッカートの音型と対比的に描かれるレガートも、耳に新鮮さを運んでくれる。でもあくまでさりげない。こういう曲を1アイディアで終わらせずに、サラッと創意工夫を盛り込めるあたりは、さすがフランス!今日は一緒にブラームスやシューベルトの歌曲も見ていたけど、ドイツ人の巧さって、そういう部分とは少し違うところにあるような気がするなぁ。フォーレ歌曲の楽譜は全音から国内版の全集が出ていますが(校訂と解説が萩原英彦先生!)、細かい事にこだわらない向きにはdoverの1冊が手頃でしょう。僕もこだわらない向きなので(笑)dover片手に気に入ったページを順に弾いたりしています。


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