音楽講座

ゴールデンウィーク中の5月1日と2日に、さいたま芸術劇場で音楽講座を行います。テーマは「対位法」と「ヴェーベルン」。

日独楽友協会の主催する指揮者講習会の一環ではありますが、専門家にしかわからないようなワケノワカラナイ話ではなく、「そもそもコレってどういう事なの」という視点から、音楽への接し方がより豊かになるような、根っこの話をします。知っていればいくらでも応用が広がる、大事な基礎の話。作曲をするための「書く技術」の話ではなくて「読む技術」や「聴く技術」につながる話です。専門家ではない方にも(むしろそういう方にこそ)オススメしたい内容です。

外部の方でも聴講可能ですので、ご興味のある方は是非お越しください。

 

  1. 5月1日(火)19:00〜21:30(途中休憩15分あり) 会場:さいたま芸術劇場
    前半「ルネサンスからバロック時代の対位法1」
    後半「ヴェーベルンの作曲技法1」
    聴講料:2500円
  2. 5月2日(水)19:00〜21:30(途中休憩15分あり) 会場:さいたま芸術劇場
    前半「ルネサンスからバロック時代の対位法2」
    後半「ヴェーベルンの作曲技法2」
    聴講料:2500円

お申し込みやお問い合せは日特楽友協会のホームページに記載のメールアドレスへお願い致します。

 

開催時間と聴講料がホームページに記載されているものと違いますが、上記の情報が最終的なものです。指揮講習会の他の開催日を想定して聴講料が1日5000円と設定されていましたが、講座単独の聴講に対しては時間あたりの料金が割高になるために値下げする事に致しました。もちろん、だからといって内容が半分という事はありません。音楽生活がずっと豊かになるような内容を提供すべく、現在準備を進めています。

 

特に「ヴェーベルンの作曲技法」では「12音技法」という、何やらムズカシそうな、その一方で規則が単純で理解しやすい作曲技法の存在のために、「ヴェーベルンの分析」=「音符ごとに1から12まで番号を振っていって順番を確かめたら分析終了、ちゃん、ちゃん!」と理解される事が多いように思います。時には専門家レベルでもそうですし、論文や公刊された本でもそうした論説を見かける事があります。

でも、同じレベルの分析を、例えばベートーヴェンのソナタに対してはやらないでしょう?

どこの和音がIでメロディはその第3音で、次の和音はVでメロディは根音で、という名前付けをしても、それよりもっと大切な物が他にあるでしょう?という話になるのが普通。

ところが「12音技法を使った作品の分析」というお題目が掲げられると、多くの人が何故か、枝葉末節にしかならない数字の順番にばかりこだわり始めてしまいます。それは、実は「12音技法」が「和声法」や「対位法」などと比べて格段にわかりやすい技法だから(五線を読める人なら誰でも、15分説明を受けて素直に従えばすぐに作曲を始められます)、思わずその「わかりやすさ」に飛びついてしまうのではないかと思います。

そう、難しいゲンダイオンガクの諸悪の根源みたいに思われる12音技法は、実は他に類を見ないほど「カンタンな」作曲技法なんです。

 

もちろん、作曲技法の原理が簡単か難しいかという話と、結果生まれてくる音楽の価値は別のものです。「作曲」と「作曲技法」はイコールで結べるものではありません。

今回のヴェーベルンでは、そういう数字割り振りのオママゴトは通りすぎて「曲の把握を助けてくれる視点」をお話しようと考えています。そして、今回は嬉しいことにルネサンス音楽とのカップリングでテーマ設定していますから、できればルネサンス音楽の発想法がどのようにヴェーベルンの作曲技法につながっているか、という話題にも言及したいと思っています(フライブルク音大の卒業試験での僕の口頭試問テーマでもありました)。

ただ、2日間の合計3時間でどこまで話せるかは未知数。これから時間配分をよーく考えます。

#ヴェーベルンの枠では指揮講習会でも取り上げる「協奏曲」作品24をメインに据えますので、講座に参加予定の方は、できれば事前にこの曲を少し予習してくることをお勧めします。
既に著作権は切れているんですが、IMSLPには楽譜は無いようですね。 国内の楽譜屋さんで探してみてください。音源はYouTubeにもいろいろあるようです。


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