シューマンのピアノ小品

ここしばらく、今日が何月何日か、というのが、改めてカレンダーを見ないとわからないような過ごし方になってしまっています。いろんな締切りが同時多発的に押し寄せてきてしまっているので身動きが取れません。これまでにも結構締切りが重なってしまうことはあったけれど、今回はこれまでで一番かもしれません。あと一週間ほどが正念場。頑張って乗りきりましょう。そんなこんなで基本的には根を詰めて作業に励んでいるわけですが、なにぶん集中力が無いので、疲れるとピアノの前に座って小品を1曲弾いてみたりするのが僕の息抜きパターン。最近はR.シューマンが面白いです。シューマン曲集の中から適当に、初見で弾けそうなものを弾いてみたりしているわけですが、若い人のための43のピアノ曲(Op.68)が最近の収穫。幼い頃からピアノのお稽古に励んできたような人なら知っている人も、弾いたことのある人も多いんだろうけど、恥ずかしながら僕は1週間ほど前までは全く知りませんでした。(^^ゞ技術的にはそんなに難易度は高くないし、1曲1曲もさして長くない小品集なんだけど、どの曲も抜かりなく、シューマンのワザが詰まってます。おまけに順々に弾いていってみるとそれぞれの曲同士での動機の関連やら音域の関連やら、調の関係やら・・・。ロマンティックな抒情の世界に遊んでいても、そこに作曲家の冴えが光っているのが実に素晴らしい。作曲家的な視点で曲が良いかどうか判断する時には自分なら(或いはよくいる作曲家なら)「書かない」か、それとも「書けない」かで判断することも多いんですが、シューマンの曲は殆ど常に後者です。「僕には逆立ちしたってこんな素敵な音楽は作れません、参りました!」という感じ。真似して書いてみようと思っても、この水準で閃きの詰まった音楽なんてそうそう簡単には作れないでしょう。やはり大作曲家たるお方です。かといって指をくわえて羨ましがってこのまま生涯を終えるわけにもいかないので、少しでも吸収できるものは吸収してしちゃおう、なんて思っていると(忙しいのに)1曲の息抜きのつもりが、もう1曲、さらにもう1曲、この曲をもう1回・・・と、心積もりよりも長く楽譜の前で感嘆してしまう秋の一日なのでありました。


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