9月15日には福島医大の混声合唱団の定期演奏会に招かれて福島に行ってきました。歌うことが好きで集まっているというのが傍目にもわかるような合唱団。きっと将来良いお医者さんや看護士さんになるんだろうな、と予感させる爽やかな団員の皆さんでした。会場の福島市音楽堂が天井が高く、残響豊かで素敵なホールだったのも印象に残っています。「出版情報」の方にも追加しておきましたが、音楽之友社からヴェルディのレクイエムのヴォーカルスコアが出版されました。僕はオーケストラ部分のピアノリダクション(と浄書)を担当させていただいています。ヴェルディイヤーだった去年の年末ギリギリに出版する予定で準備を進めていましたが、諸般の事情で今まで延びてしまいました。合唱指揮者 清水敬一先生の監修のもと、徹底して実用性を重んじた内容になっています。ピアノリダクションでは、練習の為のピアニストが報われない苦労をしなくても済むように(あるいは音符を省いて弾かなくても済むように)工夫してみています。具体的には和音の中の音符を一部省いたり、拾い上げる声部を変えたり、ということになるわけですが、それで貧弱な伴奏になってしまっては台無しです。演奏効果が損なわれないあたりのセンを狙っています。ピアノの方が他の版と楽譜を見比べていただければわかるでしょう。勿論、リダクション部分に関して何らかの問題があれば、それは全て僕の責任です。清水先生や他の関係者の方々には何の責任もありません。声楽/合唱パートにとっても便利な楽譜になるように考えてあります。音符と歌詞を大きめに表示しています。小節のレイアウトを調節することでページのめくり位置がなるべく不自然にならないように配慮してみました。尚且つ総ページ数が少なくなるようにも工夫しています。(この2点は一見矛盾しているようにも思えますが、実はやり方次第で同時に実現できる場合もあります。)楽譜部分のページ数は、例えば国内版のもう一つの方の楽譜Z版(これはP版のコピーです)よりも全体で5ページ程度少なくなっています。少しでも軽く安い楽譜を値段を抑えて提供する為です。旧来の版には練習番号が複数存在していますが、これらを併記することで、練習時の便も図ってあります。他にも諸々、いろいろな側面から有効に楽譜を使えるような工夫を凝らしてあります。この音楽之友社版ヴェルディレクイエムが今後の演奏の中で受け入れられていって欲しいと思います。別版の存在する作品の新しい楽譜が信頼を得ていくのは大変だとは思いますが、半年ほどの間自分の作曲よりも心身を傾けて、ほとんどかかりきりで作業していた楽譜です。楽器店で見かけた際には是非とも手にとって見てください。
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