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なんとここでのお知らせをすっかり失念していました。

既に5ヶ月経ってしまいましたが、2011年3月に音楽之友社から合唱の新刊「おれは歌だ おれはここを歩く 〜アメリカ先住民の三つの詩」が発売されました。混声合唱とピアノのための作品です。

現在は平凡社ライブラリーに収められている金関寿夫さん翻訳の「アメリカ・インディアンの口承詩―魔法としての言葉」 に収められた詩から

  • 狩りの歌 (ナバホ族の口承詩)
  • ホピの子守唄 (ホピ族の口承詩)
  • 敵の死を願う呪文の歌 (チェロキー族の口承詩)

の3篇に作曲しています。

2004年に作曲。名島啓太先生の指揮する混声合唱団鈴優会によって初演されました。

おれは歌だ おれはここを歩く

当時主に考えていたのは、(1)ダイアトニックな機能調性の上に歪められた調的響きを盛り込む事と、(2)合唱の、集合体としての声で発散力ないし吸引力の強いエネルギーある表現を呼び込むこと。

例えば1曲目では嬰ハ短調にニ短調が混ざったような音階を作って全体を統一しています。「鹿がおれの歌ごえをきいてやってくる」と歌う合唱の変な音階の上り下がりが最初の発想。

2曲目では嬰ヘ短調とニ短調の間を揺れ動く子守唄が、やがて調性の境界線を超えた響きへと広がっていきます。

3曲目では打楽器的性格を強めたピアノパートと対峙する合唱が、足踏みも交えながら身体表現としての声のエネルギーを高い緊張度でつないでいきます。合唱団が作る「音とりMIDI」と実演との印象の乖離がとても広い曲。生演奏での体験を強くお奨めします。

コンクールでも使いやすいでしょうし、演奏会で取り上げてもお客さんに強い印象を残せる曲です。情緒的に歌っているだけでは全く形にならず、器楽的な発想で楽譜を眺める必要が出てくる、という点では合唱団の表現の幅を広げる経験としても有効でしょう。

高校生・大学生を中心とした若い声の合唱団、中人数・大人数の合唱団に向いています。是非楽器店、書店等でご覧ください。Amazonでお求めの方はこちら

新譜を含むコンサートのお知らせ。

僕はいま埼玉の戸田市に住んでいますが、この度、同じく戸田に住んでいる音楽仲間とファミリーコンサートを開きます。やはり戸田市にあるおいしいピッツェリアに出会えるお店、オオサキさんを会場としてお借りして、ケーキとお茶つきの気軽な雰囲気でフルート、クラリネットとピアノ、そして朗読までをお楽しみ頂けます。

 

日時 2011年8月28日(日)
開演 午後3時
料金 おいしいケーキとお茶がついて
大人2500円・中学生以下1500円
※3歳児以下無料・乳幼児可
演奏 アンサンブル・アイリス
(フルート 樋口貴子 、クラリネット 菅生千穂)
ピアノ 柏木薫(ゲスト)
曲目 愛のあいさつ (Cl, Pf)
「歌の翼」による幻想曲 (Fl, Pf)
タランテラ (サン=サーンス作曲:Fl, Cl, Pf)
となりのトトロ (Fl, Pf)
君をのせて(Fl, Pf)
さるかに(壺井一歩作曲:Cl, Pf, 朗読)
日本の憧憬(堀内貴晃編曲:Fl, Cl, Pf) ほか

拡大できるpdf版のチラシはこちら→familyconcert20110828

フルートとクラリネットの二人はなんと戸田市内の同じ住居の現住人と前住人。アンサンブル・アイリスは異色の「部屋つながり」アンサンブルです。

僕の編曲「日本の憧憬」はこのアンサンブルのために書いた、日本の四季の歌のメドレーです。こういう編曲はほのぼの懐かしい音楽が並ぶのがほぼ慣例ですが、「日本の憧憬」はかなり技巧的なカデンツァあり、音量大爆発ありで慣例に背を向けた、しかし骨太な編曲。

民話「さるかに合戦」を朗読つきの作品「さるかに」に仕立てた壺井一歩さんも戸田在住。今回のピアノを弾いて下さる柏木薫さんの「語りピアノ」の活動から生まれた「さるかに」では、現実的な音と実直に向き合い続ける壷井さんならではの、子どもから大人まで楽しめる豊かな時間を楽しめます。

ちなみに壷井さんとはこの他にフルートとクラリネットのためのデュオの編曲をリレー形式で共作してみたりもしました(詳細は当日のお楽しみ)。

 

戸田・戸田・戸田・戸田!と近所の音楽仲間が集まってお送りするコンサートです。戸田にお住まいの皆様に楽しんで頂きたいのはもちろんですが、市外の方のご来場も大歓迎です(意外と池袋や新宿、上野からのアクセスもいいんですよ)。8月28日はピッツェリア・オオサキでお待ちしています。チケットのお求め・お問い合わせは堀内までメールでご連絡ください。

  • JR埼京線戸田駅からお越しの方:
    国際興業バスの蕨54利用(4分乗車)、「中央六」下車 徒歩2分
  • JR埼京線蕨駅からお越しの方:
    国際興業バスの西川64・蕨54利用(3分乗車)、「中央六」から徒歩2分
    もしくは
    ぷらっとわらび南ルート利用(5分乗車)、「ふるさと土橋公園」下車 徒歩2分
  • JR埼京線西川口駅からお越しの方:
    国際興業バスの西川64利用(7分乗車)、「中央六」下車 徒歩2分

7月最初に日本楽譜出版社からバッハのブランデンブルク協奏曲第3番と第5番のスコアが発売されます。

―というだけなら新鮮味のあるニュースではないのですが、この新刊が「自筆譜のファクシミリ版」で、国内では初出版なので、ちょっと普通の新刊案内とは違います。そして出版の裏では僕もお手伝いしたので、そのお話を書こうと思います。

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新刊楽譜「上を向いて歩こう」のフルート三重奏編曲楽譜がトリプ・カンパニーから発売になります。作曲者はもちろん中村八大さん。

2つのバージョンが入って、パート譜つき。定価は1, 500円+税です。

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編曲の技術(1)の続き。
原曲の必要な声部を抜き出して、可能な限り音域を原曲通りにするだけが編曲じゃないよ、という話でした。

例に挙げたのはラヴェルのクープランの墓から「リゴードン」。
ピアノこの稿は、最初の2小節のファンファーレが終わった後のお話です。

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日本語でひとくちに「編曲」と言っても、その作業内容は大きく2種類に分けられます。

Transcription(置き換え。編成Aの曲を編成Bのために書き換える)とArrangement(編み変え。原曲の素材[多くの場合はメロディ、和音進行など]を残して、その他の部分を書き換える。例えば伴奏が変わったり対旋律が変わったり。編成が変わることも多い)の2種類。

後者ならば、必要に応じて原型を留めないにくらい作り替えても良いわけで、そうすると編曲者のオリジナリティを盛り込んだ名編曲、というのも想像しやすいですよね。

ところが前者の方、「編成の置き換え」の良し悪しはなかなか作業している当事者以外からはわからなかったりするものです。ですが、たまたま僕のところに編曲レッスンに通った末に最近仕上がった生徒さんの好例があるので、それを一例に、この「置き換え編曲」の世界を少しご紹介します。 Read the rest of this entry »

今年はいろいろとアウトプットをしていこうと思っていまして、留学中に身につけた、ぜひ日本の皆さんにも知って頂きたい視点や、留学前に書いた曲の楽譜や音源なども整理しながら公開していく予定です。

というわけでYouTube上で過去の音源を聴けるように専用のチャンネルを開設しました。

 

現時点では

を載せてあります。

掲載音源も少しずつ増やしていきますね。

お正月

音の年末(?)プレゼント。2003年に編曲した瀧廉太郎の「お正月」録音をYouTubeにアップしました。

クリスマス後の雰囲気を反映した無伴奏混声合唱用編曲です。「瀧廉太郎の6つの歌」の5曲目にあたります。

演奏は名島啓太指揮の混声合唱団鈴優会。

楽譜のお問い合わせはメールにてお願いします。(対応は年明け以降になってしまうので予めご了承下さい)

無伴奏混声合唱のための新作Phantasmagoriaが初演されます。
これはドイツ留学を経て書いた最初の合唱曲。そして歌詞は日本語ではなくドイツ語でもなく英語です。

タイトルのPhantasmagoriaは、辞書によると、

[1] (夢の中などで)次々に去来する幻影[幻想]; 次々と移り変わる光景
[2] 走馬灯
また、ヨーロッパで19世紀に流行していた降霊術のショーのことでもあります。

 

そして、あまり広くは知られていませんが、不思議の国のアリスを書いたあのLewis CarrollもPhantasmagoriaという詩集を書き残しています。

このキャロルの詩集の詩句にShakespeareやMathor Gooseの詩も織り交ぜ、さらにヘンリー8世の妻であったジェーン王妃の悲劇を伝説的に歌ったイギリスのバラード "The Death of Queen Jane" を音楽的素材の中心に据え、イギリス一色の原素材から生まれた曲です。そういう生まれなので、これまで僕が書いてきた合唱曲とは傾向の違う音楽をお楽しみいただけるかと思います。ご都合のつく方はお誘い合わせの上是非ご来場ください(私までご連絡頂ければ合唱団から頂いたチケットを差し上げられます)。

混声合唱団鈴優会 第20回定期演奏会

2010年12月19日(日) 14時開演  於:浜離宮朝日ホール
入場料:1800円(全席自由)

指揮:名島啓太
ピアノ:太田由美子
合唱:混声合唱団鈴優会

曲目:
W.A.Mozart: Tantum Ergo (KV 142 & KV 197)
堀内貴晃: Phantasmagoria (委嘱初演)
J.A.Pamintuan: Major caritas Op.5
ほか

帰国報告

10月末に卒業試験を終え(自作のみによるコンサート Kompositionsabendと口頭試験 mündliche Prüfung —僕はWebernのOp.6の3曲目と定量記譜法Mensuralnotationの関係をテーマに選びました—の2つあり、両方で最高点を頂きました)、 11月14日夜、無事に帰国しました。3年間の留学中にお世話になった皆様には心よりお礼申し上げます。

また日本での活動のスタートです。日本の皆さん、今後とも宜しくお願いいたします。

というわけで最新のプロフィールを。

 

堀内貴晃

作曲家。武蔵野音楽大学を卒業。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を中退。ドイツ国立フライブルク音楽大学芸術家養成ディプロム課程を最優秀の成績で修了。オーケストラ・アンサンブル金沢設立10周年記念作曲登竜門オーディション最優秀賞、第15回朝日作曲賞(合唱組曲)などを受賞。平成19年度石川県芸術インターンシップ事業在外研修員。これまでに作曲を田辺恒弥、尾高淳忠、Cornelius Schwehr、Orm Finnendahlの各氏に師事。

近作に映画「眠る巴里」(ルネ・クレール)のための付随音楽(2台のコントラバスと4人のコントラバス奏者のための)、映画「アネミック・シネマ」(マルセル・デュシャン)のための音楽、野外劇「ロメオとジュリエット」(ドイツ・ロットヴァイル室内歌劇場とトロッシンゲン音楽大学による共同委嘱)のための音楽、 海の星(ファゴットとピアノのための)など。

堀内貴晃 プロフィール写真

留学中に得たあれこれの中には、自分のみならず他の人にとっても役立ちそうな事がたくさんあります。そうしたあれこれは、これからの活動の中でも触れていただく事が出来ると思いますし、このホームページでも書いていきたいと思います。

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