最近は事務作業をしている時にNaxos Music Libraryから適当に選んだ曲を聴いている事が多いのですが、今日聴いていたのはたまたまトップで紹介されていたハイドンの中期?交響曲集。50曲でまだ全交響曲の半分ですからね。単純に分量だけでも感嘆。で、そのハイドンを改めて聴いていると、BGMには出来ないくらいに面白くてたまらない。昔はこの面白さはわからなかったけど、これだけ随所にアイディアがちりばめられていてサプライズに満ちた音楽を見過ごしていたなんて、なんと勿体ない事をしていたんだろう。「複雑な和音を刺激的なリズムでカッコ良く聴かせる」事こそが面白いと疑い無しに信じていた頃は、ハイドンなんて威厳もなければお洒落でもないカビ臭い存在だと思ってました。反省。30歳を前にしてようやく「当たり前の事をサラッと実現して、なおかつ奥行きを持たせる事」の魅力と難しさをはっきり認識できるようになってきたかなぁ。今ようやく「気づく」「わかる」まで来たから、10年前に比べれば大進歩。「できる」までを生きてる間に手に入れたいなぁ。___今日の他の収穫はレスピーギのオーケストラ伴奏歌曲”La sensitiva”(P. 104)です。オケの書き方が圧倒的にうまい。色彩感の変化が素敵。日本語にすると歌曲集「感覚」で、いかにも売れなそうな雰囲気漂ってますが、近代音楽の好きな人は聞く価値ありです。
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イギリスのアマゾンで偶然発見して注文していた、大好きな映像作家The Brothers Quayの作品を多数収めたDVDが届きました。送料を考えてもこの種のアートアニメとしては充分に安かった。場面場面が喚起するイメージの雄弁さが圧倒的で、創造力の豊かさと強靭さに敬服します。国内盤はもとより海外盤も廃盤状態が長く続いていたので、今回の入手は嬉しい。こういう↓色合いを見てピンと来る人にとっては刺激的な作家だと思います。http://www.dvdbeaver.com/film2/DVDreviews26/Quay_bros_short_films.htm「ストーリがはっきりしていないと受け付けない」人にはオススメできません。現代音楽の面から言えば、2000年のIn Absentiaのための音楽をシュトックハウゼンが書き下ろしているのが話題でしょうか。この作品に限らず、クエイ作品はどれも音楽が印象的に/効果的に使われています。#画像方式がPALなので、日本国内の一般的なテレビでは見る事ができません。変換機能のある環境か、パソコンのDVDで見る必要があります。
古本屋に注文していたクレーの日記(パウル・クレー 著, 南原 実訳/新潮社、絶版)が届いた。出掛けに届いてしまったので少しめくってみた程度だが、想像よりも分量があるなぁ。だいぶマメに書き綴っていたようだ。パラパラめくった中にも「ブゾーニの弾くショパンのエチュードOp.25が素晴らしい」とか「ドビュッシーのペレアスとメリザンドはヴァーグナーの歿後のオペラの最高傑作だ」とか今は歴史となった時代の証言が垣間見えて面白い。かなりコンサートに通っていたようだ。「この仕事は私の仕事ではないからやれなくても惜しくはないが、もしやったら経済的にはだいぶ助かっただろう」といった記述も見えた。若い頃の生活ぶりも見えてきそうだ。読了までは時間がかかるだろうけれど、自分自身の思考を整理するためにも折に触れて読み進めたい。特に芸術、創作に関わる思考態度が示唆を与えてくれそうな気がする。本当は造型思考の上と下(絶版)も読んでみたいんだけど、これはべらぼうに高い古本しか見つけられなかった。何年か前に古書市で良心価格(たしか上下2冊で5000円くらい)のものを見かけたような気もするのだが、その当時は購入するほどの興味が無かった。ああ、後悔先に立たず。どなたか、良心価格で譲っても良いよ、という方いらっしゃいましたらご連絡ください。涙を流して喜びます。
今朝早くのテレビ見かけたニュースで笑ってしまいました。幸先のいいスタートです。少し前にも、ニューヨークでアンディ・ウォーホルの作品に偽物を紛れ込ませたニュースが報じられていましたが、今回の「犯行」の舞台は大英博物館。「狩りに出かける古代人」という偽物作品が紛れ込んでいたと言われても、文字だけのニュースだったらそんなに面白くなかったろうけど、テレビではその作品をバッチリ映してました。それがあまりに脱力した存在感を放っていたので笑ってしまったんです。あの馬鹿げた画像がないかと検索してみたら、なんと犯行グループ「バンクシー」のWebサイトがありました。世界は広い!テレビニュースでは問題の作品の映像だけが流れてましたが、このサイトでは展示風景の写真まで載ってます。さすが当事者!(笑)古代人にキャッシュカートを押させようなんて発想、どこから湧いてくるんだろう?ちょっと尊敬。博物館側も大人の対応です。「他の展示品と調和していた。タイトルの付け方も本物そっくり」なんてコメント、日本の施設じゃあ出てこないだろうなぁ。鷹揚なもんです。久々に笑ったニュースでした。
映画の日だったので、妻と二人、近所の映画館へ。先日公開されたオペラ座の怪人を見てきました。ミュージカル版はまったく見た事が無く、予備知識と言えばパイプオルガンの半音進行のモティーフを聴いて知っていただけ。(余談だけど、あれは牧神の午後への前奏曲からアイディアを拝借したんだろうか?あれをゴージャスにffで鳴らすっていう発想はあまりに大胆で、パクリっぽくない巧いパクリだと思って聴いていたけど、本当のところはどうなのかな)で、映画の方ですが、途中まではそこそこ楽しめたものの、途中から音楽のヴァリエーションがかなり限られているのが気になって、退屈してしまいました。曲やモチーフが循環するのはまだいいけれど、その盛り上がり方やアレンジがいつも数種類の選択肢の中でシフトしているのが、どうしても長尺の映画のBGMとして聴くには辛い。何度も聴かせるには、それなりの変化を施して新鮮味や奥行きを保って欲しかったなぁ。尤も、これをミュージカルの舞台で聴いたら印象が違うのかも知れないし、映画版がどれくらい原作を再現しているのかも知らないから、全否定するつもりはないんだけど、あの映像や演技と一緒に楽しむには、ちょっと辛かった。全体の7割くらいはクライマックスを聴かされていた印象。筋の展開や演技を舞台風なままにしてあったのは、ミュージカル版ファンへの配慮なのかな。そのまま映像で見るとまどろっこしく、舞台じゃないんだからバッサリ切っても問題なかろうと思うところもチラホラ。それも音楽への飽きにつながっているかもしれません。こちらがスピーディな展開に慣れてしまっているだけかな。オペラ座の雰囲気がとても生き生きと描かれているのが見ていて心地よいし、冒頭での、カメラが鳥瞰的な視点から地上に降りてくるシーンは美しくて、期待を抱かせるに充分な導入。そして映像はいつもきらびやか。豪華な雰囲気を味わえます。妻は好印象だったようで「少なくともハウルよりは面白かった」と言っていたし(たしかにハウルは・・・)、好きな人が多くいるであろうこともわかる。興味のある人は見ておいて損はないと思います。ただ、僕みたいな見方(聞き方)をしてしまいそうな人は、是非、忍耐力のある時にチャレンジすることをオススメします。
今日、たまたまネットで上映情報を見つけてしまったので、衝動的に新宿のテアトルタイムズスクエアまでベルヴィル・ランデブーを見に行った。15:30の回。結果。大当たりです!これは面白かった!大胆な人物のデフォルメがまず目につくけれど、ディテールに至るまでとにかくイマジネーションが尽きる事を知らない!という感じで、ニヤニヤ/ニコニコしながら一気に見終えてしまった。このヴィジュアルの素晴らしさはなんだ!古さと新しさの絶妙なバランス!ストーリーは、まぁ定番的と言えなくもないかもしれないけど、肉付けの巧みさで全く古さを感じさせないし、劇中で扱っている音楽ネタも納得。BGMも全編素晴らしい。(ショウのための音楽って、本来質の高いものだったのではないだろうか)これは、2回目も是非見に行きたい。これから全国で公開されていくようです。後悔の無いよう、足を運ぶ事をお勧めします。 Read the rest of this entry »
思潮社の現代詩文庫176「八木幹夫詩集」をようやく購入。年末には店頭に並んでいたようだけど、なかなか詩集を買えるところまで足を運べなかった。まだ買っただけで、全く中身を読めていない。楽しみは明日以降に。「野菜畑のソクラテス」は全篇収録。その他の詩集からも、かなりの分量が抜粋収録。この文庫の特徴として、値段やページに比して中身が圧倒的に充実している。まさしく文庫。詩集の楽しみの一つである、本の装丁に見惚れたり、余白にイメージを飛翔させる余裕が持てないところは致し方ない。僕の場合、この文庫で気に入った詩を見つけてはもとの詩集を買う、という使い方をしてきた。詩の間口を広げてくれたのが、この現代詩文庫のシリーズだ。
買い物の途中で、池袋のリブロ3階にある「ぽえむぱろうる」に寄った。「ぽえむぱろうる」は、僕の知る限り(ネット以外では)唯一の、詩集専門の書店。厳密には短歌や俳句、実験映像ジャンルのビデオなんかも扱っているけれど、まぁ詩集専門店としておこう。思えば、今まで書いて来た曲のテキストはいつもここで見つけたものだ。いつもここで詩集を探して、その中から書きたい詩を見つけ、曲を書く。だから、僕にとってはとても大切な書店だ。他にも大型書店で詩集コーナーを設けているお店はあるけど、ぽえむぱろうるの品揃えと比べるとやはり貧弱なのは否めない。まぁ詩集は、(楽譜と同様に)そうそう売れるものではないだろうから、仕方がないといえば仕方がないけど。 #そういえば昔、思いあまってこの「ぽえむぱろうる」で バイトをしようと思った事がある。 ハイソな人たちとお知り合いになれる!?なんて希望を持っていたけれど、 電話して、時給が500円台だったのを聞いて(2〜3年前の話だ)諦めた。 それ以降はもっぱら購入専門で応援に徹している。さて、そんなぽえむぱろうる。「詩集は文字数が少ないくせに値段が高い!」という声に抗うためかなんなのか、毎年年末になると、棚落ち商品の値引き販売をしてくれます。折しもクリスマス直前のこの時期。今年もまた値引き販売がないかと寄ってみたら、やっぱりやってました、値引き販売!思潮社の現代詩文庫で、中江敏夫、林芙美子、尾形亀乃助、荒川洋治あたりを買ってきました。僕はまともに詩作や、詩の鑑賞の勉強をしたことがないですから、とにかく素人なりに目を通して味わう事しかできません。そんな僕にとって、この機会は嬉しい限り。今日は買いませんでしたが、新しい詩の文庫が店頭に並んでいました。「詩の森文庫」といいます。ホームページは見つかりませんでしたが、どうやら思潮社から出ているようですね。面白そう。高校生の頃にこういう本に出会えていたらなぁ。金沢では詩集を買うのも至難の業だったし、興味を持つきっかけにも恵まれていませんでした。インターネットのある今の子供たちが羨ましいです。マイナージャンルに興味を持つ子でも、ちゃんと情報を仕入れられますからね。
銀座の博品館劇場で初の生落語。上方落語の桂文我さん。前々予備知識なしで見たけど、面白かった〜。素晴らしく高度に寝られたプロット、魅せ方、聴かせ方。気がつくと完全に一人が作り出す世界に巻き込まれて夢中になっていました。落語にはまりそうです。とりあえずCDやDVDを買ってみつつ、池袋演芸場にでも行ってみようかな。
ワケあって金沢に帰省中。東京から夜行バスに乗って、今朝6時前に金沢に着きました。久しぶりに見た金沢駅はガラス張りのモダンな天井なんか備えちゃって、驚きました。変貌しているんだねぇ。ただし、県立音楽堂は今回の1週間の帰省中には主だった催しがないみたい。ホールの響きを聴いてみたかったのに、残念な事です。仕事と関係ない休養の為の帰省なので、初日はブラブラゆったり過ごしてました。が、地元の新聞を見て小躍り。なんと東京で見逃していた映画を今まさに金沢で上映しているじゃありませんか!金沢にもミニシアター系の映画館があったなんて!というわけで、金沢香林坊109内にあるシネモンドに行って、10 MINUTES OLDERを見て来ました。今日見たのは「イデアの森」の方。面白かったです。見れて良かった。これは、10分の枠の中で各監督が撮った短編をオムニバスにして並べた映画。単にオムニバスと言う以上に、10分という言葉や作品の主題が関連してくるような仕掛け。5話目の「ジャン=リュック=ナンシーの対話」だけは正直なところどうでも良くてつまらなかったけれど(オチまで来れば一応映画づくりとしての技術は納得出来る)他のはどれも良かったな。2話目の「時代×4」なんて映像手法として興味深かったし(戦争の辛さを何故か伝えられるのが不思議)、4話目の「10分後」も面白かった。そうか、10分で人生はかくも大きく動くのか、って。10分経ってみてから意図が見えて来るのが良かったなぁ。まさか金沢で見逃したミニシアター系を見られるとは思わなかった。今日はラッキーだ。もう片方の「人生のメビウス」を明日は見れるかな。時間の都合がつけば是非見てみたい。学生1300円で見られるのも魅力です。ミニシアター万歳。