学部生だった時に、学校の文化祭用に「ラヴェルのボレロを混声合唱とピアノに、5分に縮めて編曲して」という依頼をもらった。合唱に編曲はまだいいとして、5分なんてそんな無茶な、と思いつつもいちおう言われたとおりに仕上げた。原曲の「段々盛り上がっていく」仕組みをただ5分に切っても消化不良を起こすだけだから、毎回毎回、音色(合唱ならば発音で操れる領域もある)を変えながら色んな側面を見せていく、という切り口で取り組んだ。結果は、それなりに面白いものになったと思う。演奏者も楽しんでやってくれたようだったし。でも、まぁ基本的には「おふざけ」の編曲なので文化祭で一度やったきりお蔵入り。それが、今度久々に日の目を見る事になったので、改めて楽譜を見直してみると結構ひどい。何がひどいって、ピアノがひどい。全然ピアノっぽく書けてないからなぁ。昔の至らない楽譜をそのまま演奏者に楽譜を渡してしまうのも如何なものかと思ったので、楽譜を見直して、より「編成らしく」なるように少し手を施した。結果は、まぁ実演を聴いていただくとしよう(7月に新潟です)。基本的なコンセプトにはやはり無理があるので、パロディの域を出られない楽譜だが、それでも今回の作業で気に入ったアイディアがひとつある。原曲の一番最後の盛り上がりの部分ではトロンボーンが華々しいグリッサンドを聴かせていて、曲の最後にもう一押し仕掛けを聴かせてくれる大切な要素になっている。(さすがラヴェル!)前回の編曲の時は、どうしてもこのアイディアを合唱とピアノには盛り込む事ができなくて断念したのだが、今回は閃きのお陰で無事に盛り込む事が出来た。ある音型で音色を考えて弾けば、ピアノでもトロンボーンのグリッサンドっぽい効果が出るんです。ありふれて見えるアイディアだけど、これを閃いてちょっと幸せ。楽譜を書く方には、こういう見えないヨロコビというものもある。
-
下記の「音型」を教えてもらえませんか。私は趣味でジャズピアノを弾いていますが、ハービーハンコックの「処女航海」のエンディングにその「音型」を弾いてみたく思います。小山鉄郎(眼科医)http://www.koyama.or.jp/ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー基本的なコンセプトにはやはり無理があるので、パロディの域を出られない楽譜だが、それでも今回の作業で気に入ったアイディアがひとつある。原曲の一番最後の盛り上がりの部分ではトロンボーンが華々しいグリッサンドを聴かせていて、曲の最後にもう一押し仕掛けを聴かせてくれる大切な要素になっている。(さすがラヴェル!)前回の編曲の時は、どうしてもこのアイディアを合唱とピアノには盛り込む事ができなくて断念したのだが、今回は閃きのお陰で無事に盛り込む事が出来た。ある音型で音色を考えて弾けば、ピアノでもトロンボーンのグリッサンドっぽい効果が出るんです。ありふれて見えるアイディアだけど、これを閃いてちょっと幸せ。楽譜を書く方には、こういう見えないヨロコビというものもある。
-
小山様、ありがとうございます。文章では説明しにくいので、メールアドレスをご連絡頂けますか?該当部分の譜例を送らせて頂きますので。
2 comments
Comments feed for this article
Trackback link: http://ht-music.com/otama/wp-trackback.php?p=141