逃れの森の魔女(作:ドナ・ジョー・ナポリ /訳:金原瑞人・久慈美貴 /青山出版社)を読了。いやぁ、面白かった!誰もが知っている「ヘンゼルとグレーテル」を下敷きにした一種のパロディなのだけど、実にクオリティが高いです。パロディとは言っても、ヘンゼルとグレーテルの話を進行しながらデフォルメしたり、茶々を入れたりして面白おかしくしているわけではありません。本来の話の前に壮大な前置きを置いて、前置きそのものが本編になるくらいの世界を構築する、そして話の結末に従来の「ヘンゼルとグレーテル」を持ってくる事であっと言わせるシカケが浮き彫りになってくる・・・。よく考えたなぁ!すげー!と、ポンと膝を打つような面白さ。童話の世界を、まるごとひっくり返したような視点で見せてしまうんだから。すげー。これを読んでしまうと、今後は普通の童話を読んだって「悪い魔女が森に住んでいました」も「怖いオオカミがこちらを見ています」も、素直には受け入れられないだろうな。何もしていない段階で勝手に「悪い」「怖い」と説明してしまう著者に疑問を抱くようになる、ハズ。
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