久しぶりの更新です。一度サボり始めると時間の経つのが早いったりゃありゃしない。ずっと音符書きにいそしんでました。いつものごとくというか、予定どおりには進まないものでスケジュールが乱れております。今日までの作業で目下のところ作曲と編曲の頼まれモノはヤマを超えたのですが、他の仕事でたっぷりともうヒトヤマが待ち構えてます。なんとか気力を途絶えさせないようにせねば。今回のこの忙しさの中で何度も徹夜を試みたのですが、一度として成功しませんでした。体力つけねばなぁ、というのが一つの感想(前向き)で、もう一つの感想としては「下手に徹夜を試みるより早寝早起きを心がけて日中にたくさん動いた方が結果的に能率が良い」(現実直視)と実感。というのも、単発的に1日だけ徹夜、というならまだ気力が持つだろうけど、2〜3週間の繁忙期が予想される中を徹夜していっても、結局机や床の上での仮眠の積み重ねで疲労が蓄積されるだけなんですね。思い切って普通に寝た方が翌日に思いがけない進歩があったりして。・・・ということを大分前に日記に書いたことがあるような気がする。進歩してないなぁ。今回の更新は溜まっていた演奏予定の更新です。今度の日曜日は橋本で新作の初演(相模台グリーンエコー)があります。その他には別の機会に書きためていた編曲の演奏機会が多いです。6月に金沢で五木寛之先生にお会いできるそうなので、それがちょっと楽しみです。(このコンサートは先日亡くなられた合唱指揮者の関屋晋先生が企画から関わっていらっしゃいました。その企画意図を反映した編曲を書いたつもりです)
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グリーグに「2つの悲しい旋律」という弦楽合奏の曲があって、これはそこそこ演奏機会もあるようだ。この曲の出版を手伝う事になって少し調べてみたので、以下は覚え書きのためのメモ。「2つの悲しい旋律」はop34である。1曲目は「傷ついた心Den Sårede」、2曲目は「春Våren」。このop34はop33の「12の歌」から抜粋して編曲したもの。op33-3が「傷ついた心Den Sårede」で、op33-2が「春Våren」。ところが、この原曲「12の歌」の楽譜を調べようと思ったがなかなか見つからない。ネットで検索してみても、日本語でも英語でもめぼしい情報が見つからないといった状況だった。(検索の仕方が悪かったのかもしれない)。結果として某音大の図書館で発見できたので良かったが、普通に入手するのは結構難しいかもしれない。まず、おそらく確実な資料としてはグリーグ全集の中に入っている楽譜が適当だろう。個人で持つのは難しいかもしれないが、大学図書館などならおいてあるかもしれない。個人で楽譜を持ちたい時はShirmer社から出ていた(る?)Grieg Vocal AlbumのVol.IVを。「12の歌」がまるごと12曲入っているが、「12の歌」だとは書いていないので、そのつもりで見てみないと何の楽譜なのかわからない。op33-2「春Våren」だけならペータースの楽譜に収録されているものを使う方法もある。グリーグは自作の編曲をたくさん行ったようで、op34についてもピアノの編曲があるし、「春Våren」には混声合唱編曲もある。そして、それぞれのバージョンによって調性が違うのだ。何故わざわざ調を変えたのか、と考える事がそれぞれの編成の特徴をつかむきっかけの一つになるだろうし、中には音型が変わっている箇所すらある。こういうところを比較しながら眺めていると、編曲する際の引き出しを増やす事につながっていくだろう。ホルベア組曲の弦楽合奏版とピアノ版の比較なんかも昔やったなぁ。
学部生だった時に、学校の文化祭用に「ラヴェルのボレロを混声合唱とピアノに、5分に縮めて編曲して」という依頼をもらった。合唱に編曲はまだいいとして、5分なんてそんな無茶な、と思いつつもいちおう言われたとおりに仕上げた。原曲の「段々盛り上がっていく」仕組みをただ5分に切っても消化不良を起こすだけだから、毎回毎回、音色(合唱ならば発音で操れる領域もある)を変えながら色んな側面を見せていく、という切り口で取り組んだ。結果は、それなりに面白いものになったと思う。演奏者も楽しんでやってくれたようだったし。でも、まぁ基本的には「おふざけ」の編曲なので文化祭で一度やったきりお蔵入り。それが、今度久々に日の目を見る事になったので、改めて楽譜を見直してみると結構ひどい。何がひどいって、ピアノがひどい。全然ピアノっぽく書けてないからなぁ。昔の至らない楽譜をそのまま演奏者に楽譜を渡してしまうのも如何なものかと思ったので、楽譜を見直して、より「編成らしく」なるように少し手を施した。結果は、まぁ実演を聴いていただくとしよう(7月に新潟です)。基本的なコンセプトにはやはり無理があるので、パロディの域を出られない楽譜だが、それでも今回の作業で気に入ったアイディアがひとつある。原曲の一番最後の盛り上がりの部分ではトロンボーンが華々しいグリッサンドを聴かせていて、曲の最後にもう一押し仕掛けを聴かせてくれる大切な要素になっている。(さすがラヴェル!)前回の編曲の時は、どうしてもこのアイディアを合唱とピアノには盛り込む事ができなくて断念したのだが、今回は閃きのお陰で無事に盛り込む事が出来た。ある音型で音色を考えて弾けば、ピアノでもトロンボーンのグリッサンドっぽい効果が出るんです。ありふれて見えるアイディアだけど、これを閃いてちょっと幸せ。楽譜を書く方には、こういう見えないヨロコビというものもある。
書店で見かけた時には最初「にんげんかぴかぴ」に見えてしまった。疲れてたかな(笑)
これは川崎洋さんが読売新聞で連載していた「こどもの詩」のコーナーをまとめた新書で、あたまわるいけど学校がすき―こどもの詩「あたまわるいけど学校がすき」に続く2冊目。川崎さんが最晩年に選んだ子どもの詩ということになる。このシリーズは好きで、他の出版社から出た選集も買っているが、「面白い!」と感じるのは総じて特に小さい子供の詩。小学校1〜2年生くらいまでかな。小学校も高学年になってしまうと、「詩」を書きたいと思い始めてしまうようで、先生にほめられるような、型通りの詩が中心になってしまう。大人になりきれないままに枠にはめられた知性がなんとも窮屈だ。その点、3歳やら5歳やらの発想の大胆な事といったら!一本取られた!と思うような言葉のダイレクトな訴求力に圧倒されてしまう。そういう幼児の奔放さが、教育によってしつけられて、やがて伸びやかな大人の知性につながっていく。その過程を見ていると思えば、成長の過程にある詩も読むのはまた楽しい。特に小さい子の、豪快な詩をあつめた曲集をいつか書いてみたいと思っている。
バルトークの弦楽四重奏。全部で6曲。6曲合本になって1万円くらいで買えるスコアもあるんだけど、僕は運悪くその存在に気づく前に3番と4番のスコアを買ってしまった。こういう状態になってしまうと、残りをどう買いそろえていくか選択に困ってしまう。順当に1、2、5、6を買っていくとそれで1万円近くなってしまうし、合本を買って重複するのもなんだかなぁ。合本は持ち歩くと重そうだし。だいいちバルトークってそろそろ著作権切れだから、どこかの出版社で安く出てくるかもしれない。旧譜を買った直後に情報盛りだくさんの研究報告付き新譜なんて出ちゃったらどうしよう。・・・なんてことをつらつら考えだしてしまったので、結局買う機会を逸したまま長い時を過ごす事になってしまった。なんとなくバルトークに関しては、似た持ちスコア状況の人が多いような気がします。なんとなく。そんな我々に強い味方が現れました。Doverが1、2番を合本で出してくれたんです。1200円くらい。これなら買い!というわけで即注文。久々に1、2番を聞き返します。うーん、結構渋くていい曲ダッタノネ。こういうバルトークの顔もそういえばあったなぁ。うん、いい!!ついでに5、6番も聞き直してみたらやっぱりなかなかいい!これは5、6番のスコアも揃えなきゃいかんなぁ。でも現状で買うと5〜6000円するよなぁ。それなら6曲合本の1万円出して・・・、でもそれだと重いし・・・、でも5000円は・・・と、優柔不断なスコア収集はいつまでもループを繰り返すのです。
John Rutterの編集でOXFORD大学出版局から出ているEuropean Sacred Musicは、その名の通りヨーロッパの宗教音楽(合唱のみ)が俯瞰できるようになっているアンソロジー楽譜集です。古いところではジョスカンのAve Mariaくらいから、新しいところではプーランクSalve Regina、ストラヴィンスキーAve Mariaくらいまで入ってます。カザルスのO vos omnesなんてのまである。だいたいがアカペラで、フォーレのラシーヌ雅歌のように伴奏付きのものも含まれてます。結構広い時代を俯瞰しているんだから、時代順とか作曲年代順とか、テーマ別とかまとめてもよさそうなのに、純粋に作曲者アルファベット順のインデックスだけしかついていません。思い切りがいいというかなんと言うか・・・。ヤマハで見かけた時はたしか4000円近くしたと思うんだけど、amazonで1700円くらいなのをたまたま見つけたので買いました。こういう楽譜は資料として持っていたり、移動中に適当なページをめくって読譜すると楽しい。届いてからパラパラめくっていたら、グリーグのAve maris stellaが目にとまりました。この旋律、なんだか覚えがあるけど、この曲知らないはずだしなぁ、と考えてたら閃いた!「メリーさんの羊」に似てるんだ!そう思ったが最後、どのページにもメリーさんの羊が溢れかえっているようにしか見えてこなくなるから困ったもんです。ちょっとした「メリーさん幻想曲」といった赴き。高校生の時に「かたつむり」(♪でーんでんむーしむしかたつむり)でかなりドラマティックなアレンジを施したことまで思い出しました。グリーグの楽譜の方には「9世紀のVesper hymn」という書き込みがあります。メリーさんの方も、同じ旋律から派生して定着した歌なのかな?
心配していた事が起こってしまった。今朝起きてから、コーヒー片手に優雅な気分で「象の鼻」の楽譜をめくっていたら見つけてしまった。ミス。それも、あろうことか2個も。慌てて原因をたどってみたら、ファイルのバージョン違いが原因だったようだ。一度入稿した直後に、音符が二つ消えてしまっているのが発覚したので、すぐさま修正バージョンのファイルを送っておいた。ところが、どこで何が起こってしまったのか、修正前のファイルが最終的に使われてしまったようだ。こちらから念を押してゲラを確認させてもらえばよかった、と思っても後悔先に立たず。すぐさま合唱連盟に連絡して、訂正情報をハーモニーに掲載してもらうことにはなったけど、それだけで周知徹底できるものでもないだろう。正誤表の差し込みをできるタイミングでもないみたいだし、あとは実際に使う人がなんとか正確な情報にたどり着いてくれる事を願うしかない。10日を過ぎて楽譜が公にされたら、このページにも該当箇所の訂正画像を貼る事にします。多少なりとも気づいてもらえるといいけれど。ミスがあったのが合唱ではなくピアノパートだったのが不幸中の幸いか。いや、もしかすると不幸なのかもしれない。ああああああああああああああああああああああああああ!!この一件のために今日はずっと心のもやもやが拭いきれなかった。
最近の息抜きピアノ曲はH.Dutilleuxのピアノソナタ。好きな曲ではあるけど、全く僕の腕では歯が立たないので今までナナメヨミするだけで過ぎてきちゃったんだよね。ゆーっくりゆーっくり、繰り返し、立ち止まりながら弾いていく。近所の人にとっては大迷惑な弾き方だろう(なかなか先に進んでくれないから)。そうやって弾いていくと、フレーズに仕掛けられた分量の増減や強度の変化、音域の暫時的変化が体で把握できるようになってきて面白い。なるほど、こういう曲だったんだ、というのが次第にわかってくる。今日のところでようやく1楽章全体を俯瞰できるようになってきたかな。もちろん、人前に晒せるような演奏になるのは1万年くらいあとの話。デュティーユと言えば、フルートのためのソナチネがあって、珠玉の作品が並ぶ近現代のフルート作品群の中でも定番と言えるほどの人気がある。先日新宿のムラマツに行ったときに、マリオ・カローリのコンサートのチラシが貼ってあったのでカローリさんのプロフィールを読んでいたら、「今年、イタリア放送交響楽団とストラスブール交響楽団は共同で、アンリ・デュティーユに、マリオ・カローリのための協奏曲の作曲を委嘱している。」との記述を発見!http://www.keller.co.jp/rex/mario_swing.htmデュティーユの新作はフルート協奏曲!これはフルート人ならずとも楽しみなニュース!!聴く前から完成が楽しみな曲なんて、他にそうあるもんじゃないし、デュティーユは高齢ながら、充実した新作をここ数年で精力的に発表している。是非とも完成を心待ちにしたいところじゃないですか。こりゃ初演聴くために現地に行ってもいいとさえ考え始めました。ところが!この記事を書くためにカローリさんのコンサート情報を検索したら残念なニュースが。http://www.keller.co.jp/rex/top.htmlこのページの下の方。「※先日までイタリア放送交響楽団とストラスブール交響楽団が協奏曲を委嘱した作曲家は、「アンリ・デュティ−ユ」となっておりましたが、その後事情により、上記のとおり、「ヘルムート・ラッヘンマン」氏へ変更されました。訂正し、お詫び申し上げます。」だって。”事情”が健康上の事情でなければいいんだけど・・・。ラッヘンマンのフルート協奏曲も楽しみと言えば楽しみだけど、デュティーユの曲が聴けなくて残念。他の機会に初演が実現する事を願っております。
平成17年度全日本合唱コンクール課題曲集が届いた。本としての正式名称は合唱名曲シリーズ34。