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オケ曲を少しずつだけれど、書き進めている。昨日からはちょっと思いついたので合唱も並行して書き始めてみた。じっくりじっくり耳を澄ましてまだ聞こえない音楽を掬い上げる作業。オケの方で輪郭のくっきりしたものに取り組んでいる反動か、合唱は音が空気に溶け出していくようなものを書きたくなっている。ここしばらく、変身願望がとみに強くなってきている。昨日までとは違う自分、今までは想像もつかなかった音、書き得なかった大きなスケールの存在。今までに体験してきたものの焼きなおしや切り売りではなく、未知だったものを初めて経験するためにひたすら耳を開く作曲。そんな作業を日常化して毎日変化していけたら、と考えている。

Scelsi

タワーレコードのポイント倍セールに釣られて買ってしまったScelsi: Giacinto Scelsiの合唱作品集(ACCORD)は不思議な内容です。New London Chamber Choir/James Wood の演奏は不足ない水準なので、特に不思議も何もないけれど、CDの収録曲集がクレジットよりも多い(13トラックと表記されているのに16トラック収録されている)とか1曲目に入っているThree Latin Prayersというアカペラの曲のクレジットにpour Flu^te,hautbois,violoncelleet clavecin(フルートとオーボエ、チェロとクラブサンのために)なんて書いてあったり(他のトラックにもこんな編成の曲は入っていない)。問題ではないけど、おかしなことになってます。楽器名がおかしいのなんかは、何か他のCDのデータをテンプレートとして流用したまま消し忘れたのかな、とも思えますが、曲数がクレジットより多いってのが謎ですねぇ。不思議なこともあるもんだ。

ABQ

ほぼ一ヶ月、全く更新をさぼってました。ごめんなさい。いろいろな出来事に翻弄されて1ヶ月前のことが殆ど1年前のことじゃないかと錯覚してしまいます。この間買ったアルバンベルクカルテットの演奏するバルトークの弦楽四重奏曲全集も、買っただけでまだ耳にしていません。以前、国内版が2曲カップリングで2000円で出ていた時に持っていましたが、なんと今は輸入版で全6曲1000円ちょっとになってしまっています。これから買う人には嬉しいでしょうが、前から持っていた人間にとっては複雑な気分。電車で移動する時なんかには最近はこのバルトークのスコアやベルクの抒情組曲のスコアなんかを読み耽ってます。こういう濃度を持った音楽を書いてみたい。ようやく締切りの山も終わりが見えてきたのでこれからしばらくは能動的な作曲に没頭していきたいものです。オーケストラの曲を少しずつ書き進めている他にも書いてみたいアイディアがぽつぽつと。やはりなんといっても、書きたい音楽を四苦八苦しつつも書いている時間というのが僕にとっては格別に幸せな時間。音符をひとつひとつ置いていくことで、耳を少しずつ開いていけます。

ここしばらく、今日が何月何日か、というのが、改めてカレンダーを見ないとわからないような過ごし方になってしまっています。いろんな締切りが同時多発的に押し寄せてきてしまっているので身動きが取れません。これまでにも結構締切りが重なってしまうことはあったけれど、今回はこれまでで一番かもしれません。あと一週間ほどが正念場。頑張って乗りきりましょう。そんなこんなで基本的には根を詰めて作業に励んでいるわけですが、なにぶん集中力が無いので、疲れるとピアノの前に座って小品を1曲弾いてみたりするのが僕の息抜きパターン。最近はR.シューマンが面白いです。シューマン曲集の中から適当に、初見で弾けそうなものを弾いてみたりしているわけですが、若い人のための43のピアノ曲(Op.68)が最近の収穫。幼い頃からピアノのお稽古に励んできたような人なら知っている人も、弾いたことのある人も多いんだろうけど、恥ずかしながら僕は1週間ほど前までは全く知りませんでした。(^^ゞ技術的にはそんなに難易度は高くないし、1曲1曲もさして長くない小品集なんだけど、どの曲も抜かりなく、シューマンのワザが詰まってます。おまけに順々に弾いていってみるとそれぞれの曲同士での動機の関連やら音域の関連やら、調の関係やら・・・。ロマンティックな抒情の世界に遊んでいても、そこに作曲家の冴えが光っているのが実に素晴らしい。作曲家的な視点で曲が良いかどうか判断する時には自分なら(或いはよくいる作曲家なら)「書かない」か、それとも「書けない」かで判断することも多いんですが、シューマンの曲は殆ど常に後者です。「僕には逆立ちしたってこんな素敵な音楽は作れません、参りました!」という感じ。真似して書いてみようと思っても、この水準で閃きの詰まった音楽なんてそうそう簡単には作れないでしょう。やはり大作曲家たるお方です。かといって指をくわえて羨ましがってこのまま生涯を終えるわけにもいかないので、少しでも吸収できるものは吸収してしちゃおう、なんて思っていると(忙しいのに)1曲の息抜きのつもりが、もう1曲、さらにもう1曲、この曲をもう1回・・・と、心積もりよりも長く楽譜の前で感嘆してしまう秋の一日なのでありました。

相模原市民文化祭という催しの中で相模台グリーンエコーのみなさんが無伴奏混声合唱のための「野菜畑のソクラテス」を取り上げてくださるというので生まれてはじめて相模原まで出かけました。小田急線はせいぜい新宿から代々木上原までくらいしか乗ったことが無かったので結構新鮮な感覚。うちの最寄駅からたっぷり1時間くらいですが、今日は出かけてみて良かったです。楽しかった。相模原はどうやら昨日今日と、地域一体になってお祭りだったようです。駅前から伊勢丹にかけての5分ほどの距離にとても活気が溢れていて今の不況もどこ吹く風、という感じ。また機会をつかまえて行ってみたい所です。野菜畑のソクラテスはコンクールの審査の時に非公開で演奏されたあと、一部が雑誌に載っただけなので、(僕の把握している範囲では)今回が公開の場での最初の演奏。ユーモアと言うか、諧謔のある詩に付曲しているのですが、今日の演奏中に客席の一部で笑い声が上がっていました。僕は全然予想しないで作曲してしまっていましたが、そういえば予備知識なしに聴くお客さんにとっては笑い所がある曲なのかもしれませんね。かぼちゃの歌が始まったと思ったらいつの間にか罵詈雑言の連発になったり・・・。(^^;)予想外のところに効果があったりするもんですねぇ。演奏も素敵でした。あまり時間が無くて団員のみなさんと存分に話して来れなかったのが残念ですが・・・。日本語のディクションの問題や、ハーモニーのピッチを合わせる問題、そこから派生して響きの色を変えていく問題、などなど、合唱を聴かせていくために必要な課題を乗り越えてホールを柔らかい雰囲気に包んでいたのが印象的でした。またチャンスがあれば是非ご一緒したい団体です。帰りに池袋のヤマハによっていくつか歌の楽譜を購入。フニクリフニクラの編曲用に、そもそも原曲の楽譜を持っていない!という大問題に気付いたため。何種類か出版されているようですが音楽之友社の世界の名歌集I(1500円)というのを見つけて買ってきました。他にもいろいろ名曲の類が載っているのでこれから他の曲の編曲を頼まれても大丈夫!(変な楽譜はいろいろ持っているくせにメジャーな曲を持っていないことが多いのです(^^;)やっぱり原譜は見てみるものですね。僕はてっきりフニクリフニクラは4分の2拍子で付点8分音符+16分音符のリズムだとばかり思っていたのに、原曲は速い8分の6拍子でした。サルタレッロになるんですね。(多分)改めて楽譜を見てみても、やっぱり良い曲です。メロディそのものが良いというよりも、盛り上げて行くための構成が立派。最後に繰り返しをしているところで何のアイディアも無いのがちょっと残念ですが、他はとてもいいなぁ。これなら歌っていて気分が良くなるのも頷けます。シェーンベルクやカセッラ、リヒャルト・シュトラウスはCDを探してみましたが見当たりませんでした。時間の関係もあるので今回は断念。一体彼らはこの曲に何を施しているんでしょう。いずれCDが手に入れてみたいところ。ヤマハで配布している国内版・外国版楽譜音楽書展望というフリーペーパーが意外に充実しているので時々気がついたら読んでいます。今日もヤマハに寄ったついでに貰ってきたんですが(10月号)林光さんのエッセイが面白かった。演奏会のプログラム(曲目ではなくて紙媒体のモノのこと)に触れつつ三人の会の事にも触れてありました。三人の会(團伊玖磨・芥川也寸志・黛敏郎による作曲家同人)のことは存在は知っていて、その活動のアウトラインくらいは把握しているけれどさすが、同時代の証言は歴史書とは違います。今まで全く予想もしなかったけれど、そうか、この3人の集団となると日本(もしかすると世界)?作曲史上初の〈裕福な〉作曲集団だったんだ!というどうでもいいような、しかし大切な現実が赤裸々に実例を織り交ぜて綴られています。興味のある方は早めに入手してみましょう。このエッセイは毎号読ませてくれます。

フニクリフニクラの編曲を頼まれたので、準備のためにいろいろ調べてみました。多分小学校か中学校くらいの時に音楽の授業で歌ったりしたことくらいはあるのに、何故か思い出せる歌詞が「おに〜のぱんつはいいぱんつ〜 強いぞ〜 強いぞ〜・・・」だけなんです。(^^;)授業でこんな歌詞は歌わないはず!と思って調べてみたら判明しました。上記の歌詞は替え歌でしたね。(^^;)他にも(僕は全く知らなかった)フニクラとかけてぐりとぐらを歌った替え歌があるらしいです。(これはどんな内容の歌詞なんだろう?)正規の歌詞(?)は「赤い火を吹くあの山へ 登ろう 登ろう・・・」と始まるもの。ただし、この日本語訳はイタリア語の本家と比べると意訳や創作の部類に入ります。まぁ、どうしても歌を日本語に訳すと1つの音符にシラブルを1つ、という独特の処理が必要になってくるので仕方ないですね。他にもそういう歌はたくさんあるんでしょう。イタリアの民謡かと思い込んでいたら、どうやら民謡ではなく、デンツァLuigi Denzaというイタリアの作曲家がイタリアのベスビオ火山に登山鉄道ができた時のキャンペーンソングとして作った曲のようですね。民謡だと思い込んでいたのはどうやら僕だけではないようで、かのリヒャルト・シュトラウスも「イタリアから」という曲(僕は存在すら知りませんでした)の終楽章でイタリア民謡のつもりで引用してしまっているらしいです。編曲はきっと数多あるんでしょうが、面白そうなところではシェーンベルクが室内編成で編曲しています。地道に編曲してるんでしょうか。それとも大胆に面白い編曲になっていたりするんでしょうか。気になるところです。日本ではNHKの「みんなの歌」で紹介されたために一気に広まったらしいですね。この時の歌詞が上記の正規の(?)歌詞。細野晴臣さんもどうやら自分のアルバムに収録しているようで、これもちょっと興味あります。検索している途中で偶然、ドナドナは離散したユダヤ民族の想いを裏に秘めた歌だった、という説も見かけました。牛が売られていくだけでも充分重い歌なのに・・・。意外な歴史を秘めた曲って結構民謡、童謡には多そうですね。と書いたところで、覚書も兼ねた今日の日記はおしまい。

楽譜ネットさんは、国内の楽譜をだいたい取り揃えているようで、中には他のお店で見かけなくなった楽譜まで在庫していることがあるので時々使います。3000円以上注文したら送料無料だし、商品が在庫切れだとか、絶版だとかの場合にも予めその旨を表示してくれているので嬉しい。そんなわけで国内版の楽譜が必要になった時には時々利用させてもらっています。昨日も必要な楽譜があったので3冊注文しました。注文後すぐに注文確認メールをが届きます。メールの送信者名は−楽譜ネット−と表示されていました。それが今日の午後になって「品切れのお詫び」というメール。残念ながら注文した3冊ともが絶版らしいんです。(涙)まぁ、それはしょうがないでしょう。無いものは仕方ないです。でも、このメールの送信者名が楽譜ネット♪ になってるのはどういうこと???♪マークを使うなんてけしからん!なんて言うつもりはないけど、せっかくメールを使い分けるならお詫びメールの送信者 名に楽しげな♪マークを使うのはやめた方が賢明ではないかと思います。はい。基本的には品揃えのいいところだから、在庫切れになっちゃうことなんてあまりないんだろうけどねぇ。・・・ということを直接文句言わずに、こんなところで細々と書いてる僕は小心者。(笑)

最近引越しをした東京・本郷の輸入楽譜店アカデミアに。以前はゴチャッとなっている楽譜の山から目当てのものを掘り出す、という感じの店内でしたが、今回の移転でだいぶ印象が変わりました。スッキリ整えられて、清潔感アップ!目的のものも幾分探しやすくなりました。ただ、以前のような「秘密の場所に入っていく感じ」が無くなってしまったことを残念に感じる部分も少しあります。輸入楽譜屋は絶対にアヤシゲな雰囲気じゃなきゃいかん!とまでは思わないんですけどね。(^^ゞ常識的に考えればオープンな雰囲気の方がいいですよね。そりゃそうだ。今月いっぱいまでに店舗で何か購入すると (今日はリゲティ、ベルクなんかの楽譜を買ってきました!) 半年間有効の1割引カードを貰えます。興味のある方は、なんとか都合をつけて今月中に本郷へ行ってみましょう!

9月15日には福島医大の混声合唱団の定期演奏会に招かれて福島に行ってきました。歌うことが好きで集まっているというのが傍目にもわかるような合唱団。きっと将来良いお医者さんや看護士さんになるんだろうな、と予感させる爽やかな団員の皆さんでした。会場の福島市音楽堂が天井が高く、残響豊かで素敵なホールだったのも印象に残っています。「出版情報」の方にも追加しておきましたが、音楽之友社からヴェルディのレクイエムのヴォーカルスコアが出版されました。僕はオーケストラ部分のピアノリダクション(と浄書)を担当させていただいています。ヴェルディイヤーだった去年の年末ギリギリに出版する予定で準備を進めていましたが、諸般の事情で今まで延びてしまいました。合唱指揮者 清水敬一先生の監修のもと、徹底して実用性を重んじた内容になっています。ピアノリダクションでは、練習の為のピアニストが報われない苦労をしなくても済むように(あるいは音符を省いて弾かなくても済むように)工夫してみています。具体的には和音の中の音符を一部省いたり、拾い上げる声部を変えたり、ということになるわけですが、それで貧弱な伴奏になってしまっては台無しです。演奏効果が損なわれないあたりのセンを狙っています。ピアノの方が他の版と楽譜を見比べていただければわかるでしょう。勿論、リダクション部分に関して何らかの問題があれば、それは全て僕の責任です。清水先生や他の関係者の方々には何の責任もありません。声楽/合唱パートにとっても便利な楽譜になるように考えてあります。音符と歌詞を大きめに表示しています。小節のレイアウトを調節することでページのめくり位置がなるべく不自然にならないように配慮してみました。尚且つ総ページ数が少なくなるようにも工夫しています。(この2点は一見矛盾しているようにも思えますが、実はやり方次第で同時に実現できる場合もあります。)楽譜部分のページ数は、例えば国内版のもう一つの方の楽譜Z版(これはP版のコピーです)よりも全体で5ページ程度少なくなっています。少しでも軽く安い楽譜を値段を抑えて提供する為です。旧来の版には練習番号が複数存在していますが、これらを併記することで、練習時の便も図ってあります。他にも諸々、いろいろな側面から有効に楽譜を使えるような工夫を凝らしてあります。この音楽之友社版ヴェルディレクイエムが今後の演奏の中で受け入れられていって欲しいと思います。別版の存在する作品の新しい楽譜が信頼を得ていくのは大変だとは思いますが、半年ほどの間自分の作曲よりも心身を傾けて、ほとんどかかりきりで作業していた楽譜です。楽器店で見かけた際には是非とも手にとって見てください。

注文してあったものがamazon.co.jp から届いた。ひとつはクセナキスのCD。 ペルセポリス(リミックス)。最近発売になったみたいですが、聴いていて楽しいです。クセナキスの、特に電子音楽やテープ音楽の圧倒的な音の洪水の中に、全てを忘れて身を委ねている時間は、意外なくらい楽しい。BGMとして聴いていると五月蝿いだけだったりもするけど(笑)没頭して聴くと違う世界に行きそうな感じです。 ただ、あまり大音量にしてしまうと隣近所から苦情がありそうなので、その辺は注意が必要。麻薬なんかを打って大音量で聴いたらすごいことになるんだろうな、と予想はするものの、小心者の僕は当然そんなことをするわけもなく、ただ黙々としらふのまま聞き入るのでありました。もうひとつはストラヴィンスキーのスコア。オイディプス王と詩篇交響曲の合本。どちらかというと詩篇交響曲の方が目的。この中でアレルヤ!と歌う部分が理由も何もなく大好きです。なんでかなぁ。なるべく合唱のうまい演奏で聴きましょう。この楽譜、amazonで買うと普通に国内の店頭で見つけて買うよりも大分安く購入できます。amazonはどうやらブージーの楽譜を一部取り扱い始めた模様。消費者には嬉しい話。

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