昨日の相模台グリーンエコー定期演奏会にご来場頂いたみなさま、そして何より山本先生と団員のみなさま、ありがとうございました。新曲が客席に届き、多くの拍手を頂けた(通常感じられないほどの会場の一体感がありました)のは、何よりも演奏者の取り組みのお陰だと実感しています。改めて確認しましたが、このグリーンエコーという合唱団は、基本的な能力が非常に豊かな合唱団です。時間をかけて育って来た合唱団であることが大きな一因ではないでしょうか。今のところ、地域を出ての知名度がないのが残念ですが、聴いたことのないみなさま、是非一度お聴きください。人を魅了する何かがある団体です。コンサート全体を通じて奥深いサウンドを楽しませていただきました。現在は男声のメンバーが少なめで、女声とのバランスに限界を感じる面もあります。神奈川方面で練習に通うのが可能な男声は是非一度、見学に行ってみて下さい。昨日は、委嘱の組曲中から1曲だけの披露でしたが、来年の定期演奏会では組曲全部の完成版を演奏していただく予定です。今から入れば新曲の初演にも参加できる!新曲「おしえて下さい」は、これまでと違って宗教的な側面がある曲になりました。6月12日(日)の神奈川県合唱祭(神奈川県立音楽堂)でも演奏していただけるとのことなので、昨日聴けなかった方は是非足を運んでみてください。#その他、6月24日(金)のヴィオラ・ダ・ガンバ・コンソートの編曲初演情報や、7月16日(土)の「5分でわかるボレロ」演奏情報の詳細などをホームページの方に追加してありますのでご覧下さい。

外出したついでにヤマハによって、間宮芳生氏の新刊「風のしるし・オッフェルトリウム(Wind Wrought / Offertorium)」(音楽之友社)の楽譜を発見。これは左手のためのピアノ曲。舘野泉氏のために書かれ、コンサートで演奏され、同名タイトルのCDに収録されるのも聴いて知っていたのだけど、まさか楽譜が出版されるとは思わなかった。左手だけの曲って、需要があまりなさそうな気がするから。それとも、左手レパートリーなら一も二もなく買ってくれる層が実は充実していたりするんだろうか。ちょっと考えにくい状況ではあるけど。とにもかくにも、企画会議で反対意見を押しのけて出版にこぎつけたであろう音楽之友社に拍手。で、こういうリスキーなことをやってくれる会社はなるべく応援せねばということで、僕も早速買ってきました。帰って来て早速左手で弾いてみるが、む、むずかしい・・・。しばらく弾いているうちに、左手だけで弾きこなすための指使いが少しわかってきたものの、ゆっくりしどろもどろで弾き通しただけで既に左手には腱鞘炎の気配・・・。急にハードな運動をしてはいけません。こういうのがカチッと弾けるとかっこいいんだろうなぁ。僕の技術では無理な話だけど。

今朝早くのテレビ見かけたニュースで笑ってしまいました。幸先のいいスタートです。少し前にも、ニューヨークでアンディ・ウォーホルの作品に偽物を紛れ込ませたニュースが報じられていましたが、今回の「犯行」の舞台は大英博物館。「狩りに出かける古代人」という偽物作品が紛れ込んでいたと言われても、文字だけのニュースだったらそんなに面白くなかったろうけど、テレビではその作品をバッチリ映してました。それがあまりに脱力した存在感を放っていたので笑ってしまったんです。あの馬鹿げた画像がないかと検索してみたら、なんと犯行グループ「バンクシー」のWebサイトがありました。世界は広い!テレビニュースでは問題の作品の映像だけが流れてましたが、このサイトでは展示風景の写真まで載ってます。さすが当事者!(笑)古代人にキャッシュカートを押させようなんて発想、どこから湧いてくるんだろう?ちょっと尊敬。博物館側も大人の対応です。「他の展示品と調和していた。タイトルの付け方も本物そっくり」なんてコメント、日本の施設じゃあ出てこないだろうなぁ。鷹揚なもんです。久々に笑ったニュースでした。

久しぶりの更新です。一度サボり始めると時間の経つのが早いったりゃありゃしない。ずっと音符書きにいそしんでました。いつものごとくというか、予定どおりには進まないものでスケジュールが乱れております。今日までの作業で目下のところ作曲と編曲の頼まれモノはヤマを超えたのですが、他の仕事でたっぷりともうヒトヤマが待ち構えてます。なんとか気力を途絶えさせないようにせねば。今回のこの忙しさの中で何度も徹夜を試みたのですが、一度として成功しませんでした。体力つけねばなぁ、というのが一つの感想(前向き)で、もう一つの感想としては「下手に徹夜を試みるより早寝早起きを心がけて日中にたくさん動いた方が結果的に能率が良い」(現実直視)と実感。というのも、単発的に1日だけ徹夜、というならまだ気力が持つだろうけど、2〜3週間の繁忙期が予想される中を徹夜していっても、結局机や床の上での仮眠の積み重ねで疲労が蓄積されるだけなんですね。思い切って普通に寝た方が翌日に思いがけない進歩があったりして。・・・ということを大分前に日記に書いたことがあるような気がする。進歩してないなぁ。今回の更新は溜まっていた演奏予定の更新です。今度の日曜日は橋本で新作の初演(相模台グリーンエコー)があります。その他には別の機会に書きためていた編曲の演奏機会が多いです。6月に金沢で五木寛之先生にお会いできるそうなので、それがちょっと楽しみです。(このコンサートは先日亡くなられた合唱指揮者の関屋晋先生が企画から関わっていらっしゃいました。その企画意図を反映した編曲を書いたつもりです)

グリーグに「2つの悲しい旋律」という弦楽合奏の曲があって、これはそこそこ演奏機会もあるようだ。この曲の出版を手伝う事になって少し調べてみたので、以下は覚え書きのためのメモ。「2つの悲しい旋律」はop34である。1曲目は「傷ついた心Den Sårede」、2曲目は「春Våren」。このop34はop33の「12の歌」から抜粋して編曲したもの。op33-3が「傷ついた心Den Sårede」で、op33-2が「春Våren」。ところが、この原曲「12の歌」の楽譜を調べようと思ったがなかなか見つからない。ネットで検索してみても、日本語でも英語でもめぼしい情報が見つからないといった状況だった。(検索の仕方が悪かったのかもしれない)。結果として某音大の図書館で発見できたので良かったが、普通に入手するのは結構難しいかもしれない。まず、おそらく確実な資料としてはグリーグ全集の中に入っている楽譜が適当だろう。個人で持つのは難しいかもしれないが、大学図書館などならおいてあるかもしれない。個人で楽譜を持ちたい時はShirmer社から出ていた(る?)Grieg Vocal AlbumのVol.IVを。「12の歌」がまるごと12曲入っているが、「12の歌」だとは書いていないので、そのつもりで見てみないと何の楽譜なのかわからない。op33-2「春Våren」だけならペータースの楽譜に収録されているものを使う方法もある。グリーグは自作の編曲をたくさん行ったようで、op34についてもピアノの編曲があるし、「春Våren」には混声合唱編曲もある。そして、それぞれのバージョンによって調性が違うのだ。何故わざわざ調を変えたのか、と考える事がそれぞれの編成の特徴をつかむきっかけの一つになるだろうし、中には音型が変わっている箇所すらある。こういうところを比較しながら眺めていると、編曲する際の引き出しを増やす事につながっていくだろう。ホルベア組曲の弦楽合奏版とピアノ版の比較なんかも昔やったなぁ。

学部生だった時に、学校の文化祭用に「ラヴェルのボレロを混声合唱とピアノに、5分に縮めて編曲して」という依頼をもらった。合唱に編曲はまだいいとして、5分なんてそんな無茶な、と思いつつもいちおう言われたとおりに仕上げた。原曲の「段々盛り上がっていく」仕組みをただ5分に切っても消化不良を起こすだけだから、毎回毎回、音色(合唱ならば発音で操れる領域もある)を変えながら色んな側面を見せていく、という切り口で取り組んだ。結果は、それなりに面白いものになったと思う。演奏者も楽しんでやってくれたようだったし。でも、まぁ基本的には「おふざけ」の編曲なので文化祭で一度やったきりお蔵入り。それが、今度久々に日の目を見る事になったので、改めて楽譜を見直してみると結構ひどい。何がひどいって、ピアノがひどい。全然ピアノっぽく書けてないからなぁ。昔の至らない楽譜をそのまま演奏者に楽譜を渡してしまうのも如何なものかと思ったので、楽譜を見直して、より「編成らしく」なるように少し手を施した。結果は、まぁ実演を聴いていただくとしよう(7月に新潟です)。基本的なコンセプトにはやはり無理があるので、パロディの域を出られない楽譜だが、それでも今回の作業で気に入ったアイディアがひとつある。原曲の一番最後の盛り上がりの部分ではトロンボーンが華々しいグリッサンドを聴かせていて、曲の最後にもう一押し仕掛けを聴かせてくれる大切な要素になっている。(さすがラヴェル!)前回の編曲の時は、どうしてもこのアイディアを合唱とピアノには盛り込む事ができなくて断念したのだが、今回は閃きのお陰で無事に盛り込む事が出来た。ある音型で音色を考えて弾けば、ピアノでもトロンボーンのグリッサンドっぽい効果が出るんです。ありふれて見えるアイディアだけど、これを閃いてちょっと幸せ。楽譜を書く方には、こういう見えないヨロコビというものもある。

書店で見かけた時には最初「にんげんかぴかぴ」に見えてしまった。疲れてたかな(笑)

これは川崎洋さんが読売新聞で連載していた「こどもの詩」のコーナーをまとめた新書で、あたまわるいけど学校がすき―こどもの詩「あたまわるいけど学校がすき」に続く2冊目。川崎さんが最晩年に選んだ子どもの詩ということになる。このシリーズは好きで、他の出版社から出た選集も買っているが、「面白い!」と感じるのは総じて特に小さい子供の詩。小学校1〜2年生くらいまでかな。小学校も高学年になってしまうと、「詩」を書きたいと思い始めてしまうようで、先生にほめられるような、型通りの詩が中心になってしまう。大人になりきれないままに枠にはめられた知性がなんとも窮屈だ。その点、3歳やら5歳やらの発想の大胆な事といったら!一本取られた!と思うような言葉のダイレクトな訴求力に圧倒されてしまう。そういう幼児の奔放さが、教育によってしつけられて、やがて伸びやかな大人の知性につながっていく。その過程を見ていると思えば、成長の過程にある詩も読むのはまた楽しい。特に小さい子の、豪快な詩をあつめた曲集をいつか書いてみたいと思っている。

バルトークの弦楽四重奏。全部で6曲。6曲合本になって1万円くらいで買えるスコアもあるんだけど、僕は運悪くその存在に気づく前に3番と4番のスコアを買ってしまった。こういう状態になってしまうと、残りをどう買いそろえていくか選択に困ってしまう。順当に1、2、5、6を買っていくとそれで1万円近くなってしまうし、合本を買って重複するのもなんだかなぁ。合本は持ち歩くと重そうだし。だいいちバルトークってそろそろ著作権切れだから、どこかの出版社で安く出てくるかもしれない。旧譜を買った直後に情報盛りだくさんの研究報告付き新譜なんて出ちゃったらどうしよう。・・・なんてことをつらつら考えだしてしまったので、結局買う機会を逸したまま長い時を過ごす事になってしまった。なんとなくバルトークに関しては、似た持ちスコア状況の人が多いような気がします。なんとなく。そんな我々に強い味方が現れました。Doverが1、2番を合本で出してくれたんです。1200円くらい。これなら買い!というわけで即注文。久々に1、2番を聞き返します。うーん、結構渋くていい曲ダッタノネ。こういうバルトークの顔もそういえばあったなぁ。うん、いい!!ついでに5、6番も聞き直してみたらやっぱりなかなかいい!これは5、6番のスコアも揃えなきゃいかんなぁ。でも現状で買うと5〜6000円するよなぁ。それなら6曲合本の1万円出して・・・、でもそれだと重いし・・・、でも5000円は・・・と、優柔不断なスコア収集はいつまでもループを繰り返すのです。

John Rutterの編集でOXFORD大学出版局から出ているEuropean Sacred Musicは、その名の通りヨーロッパの宗教音楽(合唱のみ)が俯瞰できるようになっているアンソロジー楽譜集です。古いところではジョスカンのAve Mariaくらいから、新しいところではプーランクSalve Regina、ストラヴィンスキーAve Mariaくらいまで入ってます。カザルスのO vos omnesなんてのまである。だいたいがアカペラで、フォーレのラシーヌ雅歌のように伴奏付きのものも含まれてます。結構広い時代を俯瞰しているんだから、時代順とか作曲年代順とか、テーマ別とかまとめてもよさそうなのに、純粋に作曲者アルファベット順のインデックスだけしかついていません。思い切りがいいというかなんと言うか・・・。ヤマハで見かけた時はたしか4000円近くしたと思うんだけど、amazonで1700円くらいなのをたまたま見つけたので買いました。こういう楽譜は資料として持っていたり、移動中に適当なページをめくって読譜すると楽しい。届いてからパラパラめくっていたら、グリーグのAve maris stellaが目にとまりました。この旋律、なんだか覚えがあるけど、この曲知らないはずだしなぁ、と考えてたら閃いた!「メリーさんの羊」に似てるんだ!そう思ったが最後、どのページにもメリーさんの羊が溢れかえっているようにしか見えてこなくなるから困ったもんです。ちょっとした「メリーさん幻想曲」といった赴き。高校生の時に「かたつむり」(♪でーんでんむーしむしかたつむり)でかなりドラマティックなアレンジを施したことまで思い出しました。グリーグの楽譜の方には「9世紀のVesper hymn」という書き込みがあります。メリーさんの方も、同じ旋律から派生して定着した歌なのかな?

訂正情報

合唱名曲シリーズ(平成17年度全日本合唱コンクール課題曲集)に収録されている「象の鼻」には2カ所ミスがあります。18ページの下段2小節目(全体の37小節目)のピアノパート中段をご覧下さい。

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1) 4拍目H音の3度下のG音を加える2) 装飾音7音中の4番目にA音(下第2加線)を加える以上2点が修正点です。(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)

ご迷惑をおかけして申し訳ありません。 楽譜を修正の上、「象の鼻」とお付き合いくださいますようよろしくお願い致します。

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