THE BEATLES GREGORIAN SONGBOOKというCDを買いました。数多くあるビートルズのカバーアルバムのなかでも異色のCDでしょう。タイトルそのまんま、ビートルズナンバーをグレゴリアンチャント風に歌ってしまおう、というアルバム。ただの企画アルバムかと思いきや、中身はかなりしっかりしてます。僕はグレゴリアンに詳しいわけではないから厳密な事はわからないけれど、少なくとも音響と唱法はかなり高度にグレゴリアン。アルシス/テーシスも自然だし、旋法らしく聴こえるようにフレーズ末に尾ひれをつけて変更を加えていたり、更には先唱が入ったりもしています。(笑)基本的にはビートルズのメロディをそのまま使っているため、あからさまに三和音が聴こえる場面があったりするので、少し注意すればグレゴリアンではない痕跡も聴き取る事は出来るでしょう。そういう部分も「グレゴリアン風な」部分との差異を考えながら聴けばまた楽しい。注意して聴かなければ、違和感を感じる場面は少ないし。ミクソリディア旋法が多くなるのは原曲がもともとミクソリディア旋法だからですね。ただ1曲、All You Need Is Loveで何度か出てくる半音進行がグレゴリアンの様式から大きく浮き立ってしまっているのが残念。この曲が他の曲と差し替えられていたら、知らない人を「これがグレゴリアンだ」と騙しきる事も出来そうだったのに。CDにはpdfファイルも入っているので、パソコンで楽譜も見れるようになっています。ネウマ譜じゃなくて五線譜なのが残念。ただ、CDの方は五線譜どおりには歌われていません。アゴーギグが豊かに加えられています(多分キロノミーで合わせているんでしょう)。この楽譜は、もしかするとグレゴリアンの唱法のレクチャーなんかで使えるかもしれませんね。楽譜どおりにビートルズを歌った後でキロノミーを使ってグレゴリアンへの変貌を体感させるとか。ライナーノートも凝っているし、面白いCDです。これは買い。

SONGS 1906-1920 IGOR STRAVINSKYという楽譜をたまたま見つけたので買ってみたのですが面白い!ストラヴィンスキーは1882年生まれなので24歳から38歳にかけての歌曲がいろいろ入っているわけですが、その時期は「花火」に始まって所謂3大バレエ、兵士の物語やプルチネラを書いたあたりと重なっています。(前に日記に書いた、8重奏曲は1922年なのでこの時期の少し後)反復と複調の試みを次第にモノにしていく過程がよく見えます。彼の手が大きかったであろう事もピアノの音程の扱いから良くわかるし、その手の感覚から広い音域にわたって不協和な音をキレイに配置していく感覚を得ていったであろう事も想像できます。それから和音だけでは決して発想していないこと。どんな細かいパートも常に旋律の中に組み込まれるように計算されていて、複数のパートが合流するポイントで合点がいくように作られている。ロシア民謡を素材とした曲が多いけれど、これは確固たる土台があってこそ実験をやりやすかった、という事なのかもしれないな。歌詞は殆どがロシア語。意味はまったくわかりませんが、音の動きだけで楽しめます。発音がついたらきっともっと面白いんでしょう。まとまった歌曲集のCDでも出てないかな。1曲1曲音源は探していくのは骨が折れそうです。クラリネット3本(Es,A/B,Bassの3人)が伴奏している「猫の子守歌Berceuses du chat」あたりは是非とも聴いてみたい。#Doverにしては表紙の発色が美しいのもポイント。手にして気持ちよい鮮やかさです。

プーランクの演奏姿が拝めるDVDを手に入れました!時間がないのでざっと目を引く部分だけ確認。演奏だけかと思っていたら、聴衆を前にしてインタビューに答えて笑いを取るプーランクまで収録。これは嬉しい!けどこれを嬉しい!と思えるのはマニア以外の何者でもないでしょう。収録されているのは全て1960年前後の演奏で当然白黒の映像。音質も決して良くはない。ランパル(fl)、プーランク(pf)の初演コンビによるフルートソナタのII楽章も聴けます。デュヴァル(sop)、プーランク(pf)で歌が何曲か収録されているし、ジョルジュ・プレートルの振るRTFをバックに、フェヴリエと共演した2台のピアノのための協奏曲(これは全楽章)も聴けます。これらを聴いてみると(多分多くの日本人が勝手に感じている)全面的に感傷的な表情を付与する演奏をプーランクは求めていないのが分かったような気がする。わりあい淡々と流して、その分要所要所で絶妙なタメを持ってきてハッとさせたり。その事で構造の流れと表情が両立できている。演奏する人は見てみると参考になる部分もあるんじゃないかな。プーランク以外の演奏も収録されています。ランパル(fl)、ラクロワ(pf)によるフルートソナタ全楽章ではランパルが時々音型をごまかしている(笑)。フェヴリエやタッキーノのピアノ演奏もあるし、多分このあたりの顔ぶれは本人からリハーサルを受けた顔ぶれ。資料的な価値は高そうです。プーランクと一緒に買ったのが春の祭典、火の鳥、中国の不思議な役人の舞台(バレエとパントマイム)をまとめて収めたDVD。(だってまとめ買いしたら25%オフになったから・・・)特に中国の役人は、なかなか映像資料が見つからないので気になってたんです。文章では必ずストーリーも紹介されているような作品なのに・・・。こちらはまず中国の役人だけ視聴。ロシアの製作によるDVDで、いかにも古くさい画質と映像処理にのっけから萎えてしまいますが、慣れてくるとB級臭が妙に味が出てきて面白い。少し経った頃に登場する「中国の不思議な役人」役のヴィジュアル設定が、キョーレツに変態な雰囲気を醸し出してます。100m離れてても変態だってわかるような。マントを脱ぎ捨ててから後は、さながら昔ジャンプで連載していたセクシーコマンド(だっけ?)の様相。あまりのスゴさに画面から目が離せません。パントマイム自体やオーケストラの演奏(クレジットを読むと生演奏のようだ)は充分クオリティを越えています。20世紀前半の重要な舞台作品が一気に3つ揃うし、プーランクよりむしろこっちの方がお勧めかも・・・。大画面で見ちゃった夢に出てくる事間違いなし。さて、これから池袋の新文芸座に行ってきます。今日はオールナイトでシュヴァンクマイエル。そして明日の日中は静岡に往復。夜は東京で練習。と、ちょっとハードで楽しい二日間の始まり。

今日はずっと自宅で(他人の)楽譜作りの作業だったので、フォーレの歌曲をiPodに投入しながらざ〜っと流しておりました。聴いていたのはbrilliantから出ている歌曲全集。アーメリンクもスゼーもどちらも清澄な歌い方でとても心地いい。録音は70年だから、一般的にはもっとロマンティックな演奏が蔓延していたんじゃないかと思うけど、余計な飾り付けのない、素直な楽譜の読みです(多分。流して聴いているだけだから正確な事は言えない)。ピアノのボールドウィンさんも、絶妙なタイミングや音色を随所で聴かせてくれます。今日聴いていて特に耳に残ったのは2曲。フォーレのOp1-1であるLe papillon et la fleur(蝶々と花、かな?)は、全く旋法色がない普通の調性で書かれていて、ある意味フォーレらしからぬ曲だけど、サロン風の上品さが光る。3コーラス繰り返すんだけど、ちょっとした音程が繰り返しによって異なるところなんかが地味に巧い。op.1って普通は気合い入りまくりの力作になるものだと思うけど、これだけ肩の力が抜けて、なおかつ洒脱な曲が書けるのもスゴい事です。もう1曲は、Op.58-1のMandoline(マンドリン)は、タイトルどおりにマンドリン風アルペジオのスタッカートなピアノの音型がチャーミング。このあたりになると、こっそりと旋法的な動きを織り交ぜ始めますね。和音に付加音を忍び込ませる手法が巧くてニクいです。特に出だし、1拍目ウラの右手の9thの音なんて、いざ書こうと思ってもなかなか書けないだろうなぁ。スタッカートの音型と対比的に描かれるレガートも、耳に新鮮さを運んでくれる。でもあくまでさりげない。こういう曲を1アイディアで終わらせずに、サラッと創意工夫を盛り込めるあたりは、さすがフランス!今日は一緒にブラームスやシューベルトの歌曲も見ていたけど、ドイツ人の巧さって、そういう部分とは少し違うところにあるような気がするなぁ。フォーレ歌曲の楽譜は全音から国内版の全集が出ていますが(校訂と解説が萩原英彦先生!)、細かい事にこだわらない向きにはdoverの1冊が手頃でしょう。僕もこだわらない向きなので(笑)dover片手に気に入ったページを順に弾いたりしています。

中村音楽工房なる業者さんのサイトを発見。楽譜作成ソフトの普及のお陰で、今や浄書屋さんを名乗るホームページは山ほどあるけれど(そしてその殆どは浄書の基本的なルールさえ守れていない稚拙な楽譜をサンプルにしている、プロとは思えないクオリティだけど)、この工房は浄書ではなくてライブラリアン業務を請け負っているところらしい(ライブラリアン=劇場やオーケストラで楽譜の管理把握を担当する仕事です)。ネットショップを覗いてみたら楽譜用の製本用品を扱っていたので早速注文してみた。ちょうど手許になくなっていた製本テープと、それから興味を惹く「楽譜用紙」のA4版。ちょうど僕の注文で在庫が切れたらしいのでこうやって安心して紹介してるんですけどね(笑)。届いたらレビューしてみます。単価は高めなものの、コストパフォーマンスはかなり良さそうなので、気に入れば今後のコストダウンにもなるでしょう。楽譜って一般の本などに比べると特殊な使い方をするので、一般の文房具だと100%満足するのが難しいんですよね。手間をかけて足りない満足度を補う事になったり。なので「楽譜専用」をウリにしている商品は気になるのです。製本用品になってしまうとヤマハにも置いてないしね。今日は面白い業者さんを発見できました。・・・で終われば短い記事ですが、この業者さんのブログを読んでいたら、もっと興味深い商品を発見!楽譜は進化している!!というわけで、楽譜と日常的に付き合っている人にとっては福音となりそうな商品を3つ紹介します。【1.楽譜専用制本機】面倒だった楽譜製本の手間とももうおさらば!な商品。一般の製本機は一応僕も持っているんだけど、ページの開きっぱなしができないんですよね。その問題をクリアしてくれている商品らしい。【2.電子楽譜表示モニター】6年前くらいかな?Boosey&Hawksの販売担当者が来日して楽譜出版にまつわる話をする、という会に出た事があります。その時に「楽譜の販売・閲覧の形態はデジタル技術によって変わると思うか?」という質問をしてみたら1. 販売はpdfのダウンロード販売は将来普及するだろう。ただし、製本された本のかたちをしている事が、楽譜の場合には特に重要になるので、従来の製本された楽譜にとってかわるところまではいかないだろう2.モニターに楽譜を表示して、スクローリングしたりページを切り替えるなどの方法を考えれば、紙以外の楽譜を見て演奏する事も考えられるかもしれない。ただし、デジタルによるトラブルを0%にする事は難しいし、演奏者は楽譜を順に追って見ているだけではないと思うので、瞬時に後戻りできない表示方法では問題がある。それから目の疲労の問題もあるし、何より書き込みが出来ないデメリットを克服する必要があるので実用化は当分先だろう。というような事を話していたような気がします(英語だったのでどこまで真意を掴めたか不明)。それがこうして一応商品化されたんだねぇ、と6年越しの感慨が。少し前に、日本のテレビニュースでも同じような商品の事を報道していました。まだまだ値段が高いけど、サロンコンサートとか、デパートのイヴェントなんかではモニタ自体の物珍しさをアピールポイントとして使っていく事もできそうな気がします。【3.電動譜めくり機 フメクール】これは演奏者の皆さんに特にお勧めしたい!普段から譜めくりに悩むピアニストの皆さん、それから「マタイ」みたいな大曲での譜持ちは重くて大変、とお困りの合唱団員の皆さんには特に朗報かと。何かの理由で、スコアを見ながらアンサンブルしなくてはいけなくなった室内楽演奏者にとっても福音!あらかじめ、全ての右ページにクリップを貼付けなくてはいけないのが難点です。でも、あまりページの多くない曲なら実用的な気も。軽量らしいし(5万円するけど)、誰か買ったら実物見せてくれませんか?実際に舞台上で使っているところも是非見たいので、フメクール使用コンサート情報も求む。

音楽之友社から新刊で出たベルリオーズの管弦楽法を早速購入。現代のオーケストラで使われる楽器がまさに生まれつつ/生まれ変わりつつあった時代の視点がふんだんに盛り込まれた管弦楽法。例えば管楽器の運指表などが含まれていないし、現在とは事情が異なる楽器事情が散見されるが、それでもそれぞれの楽器本来の姿と、それらが集合したオーケストラという有機的な存在がどのように発展成立してきたかが、時代の空気感を通して見えてくる。ベルリオーズの原文に対するR.シュトラウスの注釈も毒舌や魅力に富んでいて面白い。作曲を勉強する人には、情報が古いと言う意味で1冊目の管弦楽法としてはお薦めできないものの、2冊目以降に実際の経験と照らし合わせていく本としては強く推薦したい。演奏家や一般の音楽愛好家にとっても読み物として充分に面白い1冊だと思う。訳本ながら日本語に全く違和感がないのは素晴らしい。まだ若いこの訳者を起用してこの重要書を出版した音楽之友社の慧眼には敬服。Z社さんと違って、最近「良い仕事」の数が増えていると思います。願わくば傷みやすいソフトな紙質ではなくハードカバーの安定的な造本にして欲しかった。日常的に持ち歩けるようなサイズや重さの本ではないし、造本のために定価が1000円2000円上がったからと言って大きく印象が変わる価格帯ではないのだから(12600円)。どうしてもすぐに読みたかったので根性入れて移動中に読み継いだら、読了後には結構傷んでしまった。

金沢に帰省した折りにたまたま寄った書店で見つけたノンデザイナーズ・デザインブック Second Editionが予想以上に面白く、知見を開かせてくれた。

もちろんデザイン本なので、デザインに関して「理論・法則が道しるべになる」事を再確認させてくれます。この点だけでも僕は目から鱗。これからは楽譜の表紙作りや様々な文書作りをスタイリッシュにできるようになるぞ。

そして、それに留まらないで音楽にも通じる点がいろいろありました。無意識に処理していたあれやこれは、こういう視点で整理し直せばスッキリ理解できるんだね〜、と。下手な音楽書よりもよほど有益な本。

姉妹書にノンデザイナーズ・タイプブックというのもあるけど、これは文字好きでなければ特に不要な本かな。文字好きの僕は楽しめたけど。

系図

久しぶりに武満徹のスコアを買ってきました。

語りとオーケストラのための「系図」ー若い人たちのための音楽詩ーです。

語りに使われている詩は谷川俊太郎さんの「はだか」からの6篇。今年の2月になってひっそりと出版されていたのを最近見つけたんです。行きつけの池袋ヤマハは新刊の入荷が異様に遅いので(発売後1ヶ月以上経ってから入荷する事が多い)、たまたま銀座のヤマハに行った時に発見。音楽之友社や全音の新刊はホームページでチェックしてるけど日本ショットのページは滅多に見ないからなぁ。

この「系図」、かつて大好きだったんです。今も好きだけど。10年前、ちょうど大学受験をしている時に武満さんが亡くなって、作曲少年のご多分に漏れず武満教信者だった僕はショックを受けたわけですが、少し経ってからテレビで流れた特集番組の中でこの「系図」の存在を知るわけです。最初に聴いた時から強く惹き付けられました。更に少し経ってから発売された追悼盤CDにはじめて録音が収められたのですぐに購入して、それから数ヶ月間は、25分くらいかかるこの曲を毎日2回くらいは聴いていました。

60年代の武満さんの作品も当然知っていましたが、特に青少年用に書かれた曲とは言え、あの60年代の高密度な厳しい作風の武満さんが晩年にこんなにわかりやすくて豊穣な世界に行き着いた事にとても大切な意味があるように思えたので、部分的に耳コピしたり、一音も漏らすまいと覚えるくらいに聴き込んだものです。

初期の作品でサラベールから出版されている何曲かを除いて、武満さんの作品は全て日本ショットから出版される契約になっていた事は知っていたし、これだけわかりやすい武満作品なら売り上げも期待出来るはず。だからきっと早々にスコアが出版されるものと思いました。が、期待に反して「系図」のスコアは全然出版されない。しびれをきらして日本ショットに電話をかけて「出版の予定はないんですか?」と質問した事まであります。それも1年おきに3回くらいは(笑)。そのたびにショットの担当の人は「いま出版に向けて準備を進めていますので、もうしばらくお待ち下さい」と言っていました。

で、その「もうしばらく」が10年かかってしまったわけですね。今や僕の「系図」への想いも相当薄れてしまいました。思えば遠くへ来たもんだ。でも、楽譜が出たらやっぱり買いたい。楽譜を読んで曲の秘密を探ってみたいので、今日の購入となりました。で、家に帰ってまずやりたかったのはCDを流しながら楽譜を順にめくる事。

ところが!系図が入っているあのCDが見当たりません。まさか捨てるはずもないし、探せる限り探しても見つからない。結局今日のところはCDを諦めて楽譜をつぶさに読みふけっていました。

聴き込んだだけあって、意外に音色の実感が耳の奥に残っていました。やっぱり美しい曲だった。今日の収穫は2つ。

1つはオーケストレーションの素晴らしさの理由がわかった事。これが隠し味だったんだね、という所をいっぱい確認。

もう1つは、CDの演奏で「ゆれ」だと受け止めていたテンポの変化が、正確な記譜でコントロールされていた事です。作曲の人も見ているので細かい事を書きますが、小節1つで取るような早い4分の3拍子を設定して、その中で4分音符3つの小節、付点4分音符2つの小節、という具合にタイムを操作して結果的に頻繁にpoco accel.とpoco rit.を繰り返しているような効果を作り出しています。てっきり8分音符だと思っていた音が4分音符で書かれていたのは大きな発見でした。

8分音符で同様の操作をしようとしても、見た目の変化が複雑になりすぎるので、4分音符で書いた意味合いは大きいです。そういえばストラヴィンスキーが同じような事を語っていました。どの演奏を聴いても同じようにアゴーギクがついていた理由がやっとわかりました。ただ先例追従していたわけではないようです。

(社)全日本合唱連盟と朝日新聞が主催している第58回全日本合唱コンクールの全国大会がこの土日に新潟で行われました。まず各県での大会が行われ、その上位団体による支部大会が行われ、支部大会の上位団体によって全国大会が開催される、というそういうシステムです。中学・高校・大学・職場・一般という外的条件による部門区別があり、更に人数によってA(32人未満)とB(33人以上)という二つの部門にもわかれるシステムです。そのうちの一般・Aの部門で東京支部代表のCANTUS ANIMAE(カントゥス・アニメ)という混声合唱団が、僕の作曲した「みみをすます」から「Prologue,I,II」を演奏してくれて、文部科学大臣賞(1位)とカワイ奨励賞(日本語の曲を演奏した中で最も優秀な団体に与えられる賞)を受賞したのです。「みみをすます」の楽譜は、一般の店頭販売に先駆けてこのコンクールの会場で先行販売されたので、(現実的な現象として)合唱団の受賞が会場での販売数に直結します。「優勝団体の選曲」はその他の人たちに興味を持たせる要素がありますから。間接的には、今回の事がきっかけとなって(コンクールの枠組みを越えたところで)曲が広く演奏されるきっかけと成り得ます。「存在を知られていない曲」は「存在していない曲」と同義なので。そんなわけで、CANTUS ANIMAEのみなさん、ありがとうございました。そしてこのコンクールの受賞には更なるオマケもついてきました。3月に福島県郡山市が開催する「水と緑の全国音楽祭」に合唱団が招待されたのです。(なんと合唱団全員アゴアシ付きだそうな。太っ腹!)その音楽祭では「みみをすます」の全曲を演奏することになりました。が、指揮者は既に別の仕事の予定が入っていてバッティング。その為に、まわりまわって僕が指揮をする事になりました。3月は指揮者として郡山デビューしてきます。自作自演です。振り間違えないように練習あるのみ。

「みみをすます」が出来上がりました!

正真正銘のできたてホヤホヤ。製本所から出版社に16日のお昼に届いたものを、夕方に受け取ってきました。

混声合唱と打楽器のための みみをすます

谷川俊太郎 詩 / 堀内貴晃 作曲

MIMI O SUMASU (Listening)For Mixed Voices and Percussion

Poem by Shuntaro TANIKAWA / Music by Takaaki HORIUCHI

音楽之友社 定価1700円(+税)

です。

ナゼ英語のクレジットまで書くかと言うと、わざわざ外国向けにローマナイズした歌詞まで併記しているからです。日本語はかなりのマイナー原語に属するので、外国の団体に演奏されるのは難しそうだけど、なんとか諸外国でも演奏されて欲しい!

これから問屋さんを経由して配本されるので、1週間くらいしたら店頭でも見かけられるようになるはず。打楽器共演というマニアックな編成が原因で売れ行きの予測が難しいために、初版分の著作権料はナシという契約になってしまいました。(その分自分で浄書して浄書屋としての制作費は貰いましたが。) 2刷目にならないと著作権収入がないんですね。ショボン。

みなさん、買ってね!1冊買って頂くと5%の85円が僕の口座に入ってきます!本当は、買ってくれるよりは、ダイレクトに僕に100円くらい恵んでくれた方がもっと嬉しい!(笑)

今日は出版社で出来立てホヤホヤの楽譜を受け取って、その足で合唱団の練習に立ち会ってきました。(運び屋を手伝ってくれたI上くんありがとう。)今週の土曜日に行われる合唱コンクールの全国大会でこの「みみをすます」が演奏されるんです。その事前練習の立ち会いに行ったのでした。そして最後1時間くらいを貰って、直接「みみをすます」の指導。出版までされたんだから完全に自分の手を離れた、と言いたい所だけど、実際は作り手として「この音はこうであって欲しい」という希望がどこまでもつきまとってしまいます。それがベストとは限らない事もわかっているのに、それでも。

僕は所用のために新潟に聴きにいけませんが、いい音が新潟に響きそうな予感でした。いい演奏をして、お客さんを感動させて下さいね!>合唱団の皆様新潟で聴けない皆様も、是非楽譜屋さんで楽譜を手に取ってみて下さい!

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