New CD: on 12 Aug. appears the first CD of Flute Ensemble Triptyque, with my arrangements of Mendelssohn and my text (unfortunately in Japanese). You can order the CD from Amazon (Japan), but also from me.

Neue CD: Am 12. Aug. erscheint die erste CD von Flute Ensemble Triptyque, in der meinen Bearbeitungen mitgespielt werden. Mein Einführungstext (leider auf Japanisch) ist auch mit. Man kann die CD durch Amazon (Japan) bestellen, aber auch bei mir kaufen.

“Triptyque – Flute Trio Collection”

Flute Ensemble Triptyque (Takako Higuchi, Mai Suzuki, Kana Watanabe)

Trip Company, LMCD 1986

2.500 Japanse Yen

– Abelardo Albisi: Miniature Suite No. 2

– Etsuko Hori: Two Movements for Three Flutes

– P. I. Tchaikovski (arr. Kana Watanabe): from “The Seasons” [February, June, August]

– F. Mendelssohn Bartholdy (arr. Takaaki Horiuchi): 7 ausgewählte Lieder ohne Worte [Op. 67-3, Op. 19-3, Op. 62-6, Op. 62-5, Op. 38-2, Op. 62-1, Op. 67-4]

total playing time…55’36”

Recording Location Mitaka Arts Theater, 19-21 December 2012

Amazon Japan
http://www.amazon.co.jp/dp/B00E3ANXQQ/

HMV Japan (English)
http://www.hmv.co.jp/en/product/detail/5500633

いのちがもし

無伴奏女声合唱のための「いのちが もし」にまつわる作曲のメモ。こういう見方もあるのだ、という紹介。

この曲は、日本合唱指揮者協会の創立50周年の記念で委嘱されたもので、依頼内容としては「合唱団に愛し歌われる曲」というようなものだったのですが、いわゆる「愛唱曲」でイメージされるような、ロマン派に根を持つ音楽のnarrativityから離れたところで作ってみました。かと言って前衛的なものを提出するわけではなく、普段歌い慣れているnarrativな音楽とそうではないものの狭間に位置するような曲を作ることで、合唱団の人が少し別の世界を体験できる機会になればと考えたものです。

テキストは、工藤直子さんの小説「ねこはしる」(童話社)の一部を、工藤さんの許可を得て使わせて頂きました。深謝。

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12月20日発売の「音楽の友」1月号の見本誌を拝受。後ろ側2ページのスクランブルショットというコーナーに「ヨーロッパで高まる音楽家の耳への健康意識」というタイトルで記事を書かせて頂きました(見出しは編集者さんによるもの)。500字の小さな枠ですが、見過されがちな大切な話題の提供になればと願います。

音楽家の中には聴覚の健康を害して悩みを抱える人もいますが(例えばヴァイオリニストは左耳が聞こえにくくなる、フルーティストは右耳が聞こえにくくなる、といった問題)、奏者個人には深刻な悩みであっても、それが社会や共同体の中で広くは認識されてはいないのが現状だと思います。楽器にもよりますが、音楽家の耳は酷使されていることも多く、ケアを心がけることがとても大切です。それを心理的にもサポートする環境づくりも大切。記事が、この現状を変える小さな小さなきっかけになると嬉しいです。

僕個人の音楽作業といえば楽譜にカリカリ書いているだけなので、耳の悩みよりも腰痛や腱鞘炎を気にした方が良いような立場なのですが、フライブルク音大で学んでいた時にたまたま音楽家医療の授業でこうした問題に出会いました。ベルリン・フィルなどとも協力して実地の調査を行い、Gehörschütz im Orchester(オーケストラでの聴覚保護)という本を書いたような専門の先生に習ったのですが、音楽家があまりに無防備に自らやアンサンブルの音にさらされている現状に気づいてすらいなかったのは衝撃的でしたよ。スポーツ選手が自分の体をケアしながら選手生命を保つのと同様に、ごく当たり前の基本でなくてはいけないような基本的な事柄、それが音楽家の側に無かった事が。

問題は多岐にわたるのですが、さしあたり今回の記事は「音楽家用の耳栓がある」事に的を絞りました。記事で紹介した音楽家用の耳栓の会社Elacin社のサイトはこちら、Jrenum社のサイトはこちらです。こういう取り組みの実例を知っておくことも大切でしょう。

文字数が限られていたので「じゃあ具体的に私の楽器ではどのくらいが耳のための安全線なの?」というあたりには触れられませんでした。気になるところだと思いますので、雑誌の次号が出た頃にでも具体的な値についてまとめたいと思います。

前の投稿でお知らせしていた安積道也合唱講習会が無事終了致しました。

参加して下さった皆さん、ありがとうございました。

運営的には、私の気づかなかった中にもいろいろ不手際な点もあったかと思います。今後改善していければと思いますので、忌憚のない意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

また、今回キャパシティの関係で、あるいは日程の関係で参加できなかった方も多くいらっしゃるかと思います。2回目の開催を、との声も早速届いていますので、案内をご希望の方は、よろしければ私までメールをお送り下さい。開催が決まった際には要項発表と同時に案内メールを送らせて頂きたいと思います。

 

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※ 6月25日追記:予想を上回る応募を頂いたため、開催会場を変更しました。キャパシティが増えたことに伴い、全パートとも若干名を追加募集いたします。

※ 6月26日追記:ソプラノとアルトは追加募集を締めきりました。テノールはブロック2と3,バスはブロック3のみ、引き続き募集中です。

フライブルク音大で合唱指揮を学んだ安積道也(あづみみちや)さんという素晴らしい合唱指揮者がいらっしゃいます。僕は彼の音楽作りに惚れ込んでいるのですが、ドイツからの帰国後、福岡を拠点に活動なさっているので、東京圏ではまだあまり知られていない存在ではないかと思います。

でも、こんな才能が東京圏で知られていないのはもったいない!という事で、安積さんの上京の機会に便乗して合唱講座を開催する事にしました。合唱をしている方にとっては、なかなか他では経験できない目からウロコの新鮮な体験になるのではないかと思います。

日程の迫った話ではありますが、まだ東京での活動が少ない安積さんの音楽作りに触れられる貴重な機会です。部分参加もできますので、是非参加をご検討下さい。

※1 安積さんのプロフィールをご覧になりたい方はこちらをご覧ください。

※2 安積さんのブログには、日本ではなかなかわからない、ドイツの教会音楽家の仕事を垣間見る事ができる貴重な記述がたくさん含まれています。

※3 安積さんのフライブルク音楽大学合唱指揮科卒業試験の様子もご参照下さい。日本ではまだまだ「専門教育としての合唱指揮」の実際が想像しにくいのではないでしょうか。僕はこの時偶然立ち会うことが出来ました。

 

安積道也合唱講習会

◯概要

ドイツ・フライブルク音楽大学で教会音楽科と指揮科(合唱指揮専攻)をそれぞれ修了し、 ドイツでも活動されていた教会音楽家・合唱指揮者の安積道也(あづみみちや)さんを講師に招いての合唱講習会です。

安積さんは現在、福岡を活動の拠点としていらっしゃいますが、安積さんの声の仕組みへの知見と、深く言語に根ざした音楽の構築法は、広く知られ共有されるべき演奏の基礎だと言えます。

そこで、関東圏の合唱関係者にも安積さんの類まれな合唱指導を体験する機会を設定したい思い、安積さんが上京する機会に便乗して今回の講習会を企画しました。

講習会は全体で4ブロック。それぞれ違う様式を取り扱います。全てに参加するも良し。興味のあるブロックだけ参加するも良し。ドイツ仕込みの特別な合唱体験をお楽しみ下さい。

◯日時

2012年7月7日(土)10:00〜17:00

会場(変更しました)

ミュージックスタジオ エクシア Dスタジオ

東京都 港区 東麻布 1丁目 8番 4号 パークハビオ麻布タワーB1

※都営大江戸線「赤羽橋」駅 中之橋口・赤羽橋口 徒歩4分

※都営大江戸線・東京メトロ南北線「麻布十番」駅 6番出口 徒歩9分

※東京メトロ日比谷線「神谷町」駅 2番出口 徒歩9分

詳しくはこちらの地図をご確認ください。東京タワーの近くです。

◯参加費
  • 3ブロック参加の方:3000円(学生2000円)
  • 2ブロック参加の方:2500円(学生1500円)
  • 1ブロック参加の方:1500円(学生1000円)

参加費は当日、会場にてお支払い下さい。

◯参加資格

特になし。ただし事前にある程度、課題曲の音取りが出来る方。

◯申込期限

2012年7月5日(木)

申し込みの際には以下の項目を書き添えてメールにて連絡をお願いします。

  • 氏名
  • 連絡先メールアドレス
  • 緊急連絡用電話番号
  • 参加ブロック番号(1, 2 ,3の数字でお知らせ下さい)
  • 希望パート(普段のご自分のパートをお書き下さい。複数パートへの申請可)
  • 学生の方は「学生」とお書き添え下さい。

※ 申込み多数の場合、募集を締め切らせて頂く場合がありますので予めご了承下さい。

◯問い合わせ先 & 申込先

堀内貴晃 takaaki@ht-music.com (※連絡はメールでお願い致します。)

◯時間割
▼ワークショップ0:10:00〜10:30(30分。全参加者が受講可能)

テーマ:声についての認識・声の機能について・機能的に見た「声の準備運動」

▼ワークショップ1:10:30〜12:15(105分)

テーマ:ルネサンス様式

・ポリフォニーの歌い方

・発声方法(声の機能・息と共鳴腔の使い方)

・Messa di voce

・調律(=音程の取り方)

課題曲:William Byrd作曲 Ave verum corpus

※ 使用する楽譜はこちら。(PDFにリンクします)

▼休憩:12:15〜13:00(45分)
▼ワークショップ2:13:00〜14:45(105分)

テーマ:ルネサンスから初期バロックへ

・ホモフォニーの歌い方

・ドイツ語の発音(子音と母音の作り方)

・ディクション

課題曲:Heinrich Schütz作曲 Also hat Gott die Welt geliebt SWV 380

※ 使用する楽譜はこちら。(PDFにリンクします)

▼ワークショップ3:15:00〜16:45(105分)

テーマ:ロマン派

・ドイツ語の発音(子音と母音の作り方)

・音色に合わせた様々な体の使い方

・アゴーギク

課題曲:Johannes Brahms作曲 Waldesnacht, Op.62 Nr.2

※ 使用する楽譜はこちら。(PDFにリンクします)

(注)以下は、2008年2月15日に書いた文章です。僕がフライブルク音楽大学に入学するのとちょうど入れ替わりで卒業する教会音楽家・合唱指揮者の安積道也(あづみみちや)さんの卒業試験をお客さんとして聴くことができた時の話。そう、ドイツの音大では卒業試験を一般に公開するんですよ。演奏の人はもちろん、作曲の人も、一晩のコンサートを組み立てて、そのコンサート全体が試験の評価対象となります。

以下の記述では卒業試験で審査される側にいる安積道也さんは、もちろん試験にパスしてディプロムを獲得。今は帰国して福岡を拠点に活動していらっしゃいます。とても魅力的な音楽家です。 是非安積さんの最新の活動も追いかけてみてください。

→安積さんのホームページ →安積さんのブログ

※安積さんの合唱講習会を東京で7月7日(土)に開催することになりました。詳細はこちらをご覧ください。 

 

以下が安積さんの卒業試験を聴いた時の文章です。敢えて全く改変せずに公開。

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6月17日11時から初演@ドイツのフライブルク劇場で、弦楽三重奏のためのSimileが初演されます。

何の手違いか、フライブルク劇場のサイトには一番最初に出した仮タイトルBewegung(動き)として載せられてしまっていますが、ご愛嬌。

初演だし、とても聴きたい(&見たい)のですが、行くだけの余裕がなくて断念です。残念。近郊の方はもし都合がつくようでしたらお運び下さい。2011年初めに書いた曲です。

simileは、イタリア語であると同時に同じ表情を/同じ事を続けなさい、という意味で使われる音楽用語でもあります。simileは知らない人も、実は日本語の日常語になったsimileはご存知のはずですよ。ファックス→ファクシミリがそれです。英語で書くとFacsimileなんですが、これはラテン語のfac simileから来ています。facは「作れ」で、simileは「似せて」。つまりfac simileは「似せて作れ」という意味なんです。別に電話線を使うFAXに限らず、複写されているものはfacsimileなんですね。

楽譜なんかでも、作曲者の自筆譜や初版譜をそのまま複写したものが必要になることがありますが、そういう楽譜を「ファクシミリ版」と読んでいますね。

さて、なぜ僕の曲がSimileかというと、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという大きさの違う3つの楽器の相似関係を利用して、音程ではなく演奏の身体スケールを比率として取り扱っています。

様々な音程の動きをcmで計算し、数字で作曲しているんです。ヴァイオリンにとっての開放弦→オクターブの指の移動距離はチェロの場合には?みたいな発想で。

でもヴァイオリンとヴィオラは、持ち方まで含めて相似形ですよね。それに対してチェロは、楽器の向きがほぼ反対のようになります。そのあたりのギャップも、曲の中で利用して、さまざまなsimileの形を投入してみました。

 

そういう曲なので、音だけ聴くよりも、目で見たほうがずっと面白いはずです。なので初演に立ち会えないのはとても残念。ビデオでも送ってもらえると嬉しいんだけどなぁ。

先日出版されたメンデルスゾーン作曲の「吹奏楽のための序曲」に続いて、僕が解説を担当したリムスキー=コルサコフ作曲「クラリネットと吹奏楽のためのコンツェルトシュトゥック」のミニチュアスコアが日本楽譜出版社から出版されました。パチパチパチ。

吹奏楽をやっていない人にはあまり知られていない事実かもしれませんが、リムスキー=コルサコフは海軍の軍楽隊を指導していた時期もあり、オリジナルの吹奏楽を3曲書き残しています。いずれも独奏楽器+吹奏楽という編成ですが、この「コンツェルトシュトゥック」はその中の一つというわけです。

「リムスキー=コルサコフ」と言えば今日でも繰り返し演奏されている人気曲も多く、立ち位置としては「大作曲家」と呼んでも差し支えない存在だと思いますが、今回この解説原稿を書くにあたって日本の現役出版物を見回してみると、意外とリムスキー=コルサコフの全体像や音楽史との関係を俯瞰しやすい手頃な書籍がない事に気づきました。

このあたりの事情は、先に書いたメンデルスゾーンの時も同じでしたが、リムスキー=コルサコフの場合には「ロシア音楽」という要素がいっそう事情を悪くしています。

なので、この解説はまず「そもそもロシア音楽って」という話から始まって、その中に生まれたリムスキー=コルサコフの立ち位置や創作の全体像が読めるような内容にまとめてみました。

単に曲の解説というだけのものよりは、「ロシア音楽とリムスキー=コルサコフ」というものをいろいろな要素と紐付しながら把握していけるような、そういう解説を目指したつもりです。

もちろん音楽の内容についても詳細に触れています。音符の並べ方の話はもちろん、管楽器なので、楽器の事情にもいろいろと言及。現代とは大違いなので、中高生の吹奏楽っ子が興味を持った時に誘導できるようにしておかないと。

上述のように日本語の資料が非常に乏しいのですが、さすがに原稿のためにロシア語を始めるまでの余裕は無かったので、英語とドイツ語の資料を駆使して書いています。ところで、リムスキー=コルサコフが自伝を書いていたのはご存知でしたか?

かつて邦訳も出てはいたのですが、この時にはまだ原本のロシア語も完全版が出版されていなかったので、日本語版はごく一部の抄訳のみ。大事な部分が隠されています。

これを読むと彼の視点を通してロシア五人組をはじめとする当時の周辺事情が実によく分かる!彼の几帳面な性格と客観的な観察態度もよくわかります。この自伝の成立事情についても解説の中で言及しましたが、しっかり研究するとだいぶ面白い論文が書けるのではないかと思います。

写真は、なんとか中古で取り寄せることに成功したドイツ語版。ボロボロでページが焼き芋の皮のように剥がれ落ちそうなのをなんとか読みました。

他にお世話になった資料で面白いものといえば、一冊まるごとバセットホルンの本でしょうか。どこの工房で何年に作られた楽器のキーはいくつあって内径は何センチでなんて情報や、バセットホルンのために作曲された作品の膨大な目録があったりと、バセットホルン愛好家には垂涎の的であろう一冊。こんな本が世の中に存在するんだなぁ。もっとも、ヴァイオリンやフルート、ピアノだったらこの種の本は情報量が多すぎて逆に作れない。

別にバセット・クラリネット愛好家でない僕は、おそらくこの解説を書く機会がなければこの本に出会うことは無かったでしょう。それもこれも見慣れぬ楽器を指定しているリムスキー=コルサコフのせいです。

あ、そうそう。リムスキー=コルサコフって名前になぜ「=」が入ってくるのかは知っていますか?英語で書くときもハイフンは欠かせません。Rimsky-Korsakovです。それからロシアの名前は〜ヴィッチで終わるものも多いですよね。ロシア文化に馴染んでいないとなかなかわかりにくい「名前のルール」も紹介しています。読めば飲み会のネタになるかもしれません。

 

小ネタのことはさておき、全体としては音楽全体を骨太に汲み取って頂ける解説になったのではないかと思います。吹奏楽人も、そうでない方も、是非お買い求め下さい。英訳付きです。

ゴールデンウィーク中の5月1日と2日に、さいたま芸術劇場で音楽講座を行います。テーマは「対位法」と「ヴェーベルン」。

日独楽友協会の主催する指揮者講習会の一環ではありますが、専門家にしかわからないようなワケノワカラナイ話ではなく、「そもそもコレってどういう事なの」という視点から、音楽への接し方がより豊かになるような、根っこの話をします。知っていればいくらでも応用が広がる、大事な基礎の話。作曲をするための「書く技術」の話ではなくて「読む技術」や「聴く技術」につながる話です。専門家ではない方にも(むしろそういう方にこそ)オススメしたい内容です。

外部の方でも聴講可能ですので、ご興味のある方は是非お越しください。

 

  1. 5月1日(火)19:00〜21:30(途中休憩15分あり) 会場:さいたま芸術劇場
    前半「ルネサンスからバロック時代の対位法1」
    後半「ヴェーベルンの作曲技法1」
    聴講料:2500円
  2. 5月2日(水)19:00〜21:30(途中休憩15分あり) 会場:さいたま芸術劇場
    前半「ルネサンスからバロック時代の対位法2」
    後半「ヴェーベルンの作曲技法2」
    聴講料:2500円

お申し込みやお問い合せは日特楽友協会のホームページに記載のメールアドレスへお願い致します。

 

開催時間と聴講料がホームページに記載されているものと違いますが、上記の情報が最終的なものです。指揮講習会の他の開催日を想定して聴講料が1日5000円と設定されていましたが、講座単独の聴講に対しては時間あたりの料金が割高になるために値下げする事に致しました。もちろん、だからといって内容が半分という事はありません。音楽生活がずっと豊かになるような内容を提供すべく、現在準備を進めています。

 

特に「ヴェーベルンの作曲技法」では「12音技法」という、何やらムズカシそうな、その一方で規則が単純で理解しやすい作曲技法の存在のために、「ヴェーベルンの分析」=「音符ごとに1から12まで番号を振っていって順番を確かめたら分析終了、ちゃん、ちゃん!」と理解される事が多いように思います。時には専門家レベルでもそうですし、論文や公刊された本でもそうした論説を見かける事があります。

でも、同じレベルの分析を、例えばベートーヴェンのソナタに対してはやらないでしょう?

どこの和音がIでメロディはその第3音で、次の和音はVでメロディは根音で、という名前付けをしても、それよりもっと大切な物が他にあるでしょう?という話になるのが普通。

ところが「12音技法を使った作品の分析」というお題目が掲げられると、多くの人が何故か、枝葉末節にしかならない数字の順番にばかりこだわり始めてしまいます。それは、実は「12音技法」が「和声法」や「対位法」などと比べて格段にわかりやすい技法だから(五線を読める人なら誰でも、15分説明を受けて素直に従えばすぐに作曲を始められます)、思わずその「わかりやすさ」に飛びついてしまうのではないかと思います。

そう、難しいゲンダイオンガクの諸悪の根源みたいに思われる12音技法は、実は他に類を見ないほど「カンタンな」作曲技法なんです。

 

もちろん、作曲技法の原理が簡単か難しいかという話と、結果生まれてくる音楽の価値は別のものです。「作曲」と「作曲技法」はイコールで結べるものではありません。

今回のヴェーベルンでは、そういう数字割り振りのオママゴトは通りすぎて「曲の把握を助けてくれる視点」をお話しようと考えています。そして、今回は嬉しいことにルネサンス音楽とのカップリングでテーマ設定していますから、できればルネサンス音楽の発想法がどのようにヴェーベルンの作曲技法につながっているか、という話題にも言及したいと思っています(フライブルク音大の卒業試験での僕の口頭試問テーマでもありました)。

ただ、2日間の合計3時間でどこまで話せるかは未知数。これから時間配分をよーく考えます。

#ヴェーベルンの枠では指揮講習会でも取り上げる「協奏曲」作品24をメインに据えますので、講座に参加予定の方は、できれば事前にこの曲を少し予習してくることをお勧めします。
既に著作権は切れているんですが、IMSLPには楽譜は無いようですね。 国内の楽譜屋さんで探してみてください。音源はYouTubeにもいろいろあるようです。

新刊が届きました。立原道造の詩による無伴奏混声合唱のための《メヌエット》です。わずか3ページの小品。

この曲が収められているのは、HARMONY FOR JAPAN Choral Collection Vol. 1というタイトルの合唱曲集。合唱楽譜の通信販売で有名なパナムジカの吉田健太郎氏が代表を務める一般社団法人 Harmony for JAPANが3.11後の日本のために作成した合唱曲集です。参加した出版社は日本からのカワイ出版、音楽之友社、全音楽譜出版社、パナムジカだけではなく、ドイツからBärenteiter Verlag、Breitkopf & Härtel、Carus Verlag、そしてイギリスからOxford University Press、フィンランドからSulasolという合唱でも有名な出版社。出版社は楽曲と版下を無償で提供しています。この活動のテーマは「愛・希望・未来」そして「祈り」。
作曲を打診された時、僕はあるラテン語の一節をテキストにする事を考え、実際に曲も作ったのですが、最終的には今回収録された立原道造の《メヌエット》をテキストに選びました。
この詩は立原道造の、(おそらくは)絶筆にあたる詩で、彼の詩としてはあまり知られていない方なのではないかと思います。ですが、3.11後に「変わらぬ日常」の尊さを改めて実感し、例年のように咲いた桜のニュースを特別な感慨を持って受け止めた僕が信じられる「愛・希望・未来」がこの詩の中に息づいている事から、テキストとして選びました。高校生の時に出会って以来ずっと気になっていた詩でもあります。

「春を 夢見てゐた」

この、ともすると通りすぎてしまうような言葉が、僕の胸に訴えてきました。

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